あなただけをみつめる。21 | 青いたんぽぽ

青いたんぽぽ

ぽそぽそと書いてます…
腐なので、ご注意ください(笑)

常に雑食←

 
 
本格的に動き出します←
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚
 
 
 
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい
 
やっぱり、乗るんじゃなかった。
なんでオレ、許可してしまったんだろう。
 
小さな箱の中。
オレと雅紀は向き合う形で座ってる。
だって、片方に乗れば傾くじゃねぇか。
オレは、外なんて見る余裕なんてなくて。
両手を合わせてグッと握る。
15分の辛抱だ。
 
「しょーちゃん」
 
雅紀が声かけてくるが、返事をする余裕なんてない。
雅紀は、握りしめてるオレの手を優しく包み込む。
 
「こうしてたら、平気?」
 
なんか、雅紀の両手の温かさがオレの手から流れ込んでくるようで。
オレは、俯いていた顔をあげる。
雅紀は、優しく微笑んでて。
 
「大丈夫?」
「あ…りがと」
「どーいたしまして。って、ごめんね。やっぱりしょーちゃんにはコレはムリだったね」
 
最後の最後でこんな顔をみるのは、嫌で。
誘ったのは雅紀だけど、乗ると決めたのはオレだ。
 
「ごめん。オレ、ホントに高いとこダメで。せっかく雅紀は楽しみたかったのに」
「ううん。俺が悪い」
「ち…!!!!」
 
違うって言ってあげたかったんだけど、地上より高い場所は、少しの風で箱は揺れる。
 
「うわっ!」
「しょーちゃん!」
 
絶叫系は、一応覚悟は出来てるがこういうゆっくりで風を感じない箱は本気で怖い。
軽くパニックになりかけてるオレを雅紀は抱きしめた。
 
「大丈夫だからね」
 
ゆっくりと背中を優しく撫でる。
 
「俺がしっかり抱きしめてるから。揺れても大丈夫だからね」
 
耳元で囁かれる。
オレは雅紀の胸に顔を埋める。
 
とくとくとく…
 
雅紀の鼓動がオレを安心させた。
 
 
 
時間にしたら、数分。
オレは雅紀の抱きしめられたまま、地上まで少しの所まで来た。
 
「しょーちゃん」
 
ふと呼ばれ、顔を上げる。
 
「しょーちゃん、あのさ」
「ん?」
「俺、ちょっとの間だけ、外国人になってもいい?」
「え?」
 
雅紀はふっと微笑んで。
 
「今日はホントにありがとう。すごく少し早いけど幸せな誕生日だったよ」
 
そう言って、オレの額に唇を落とした。
 
 
 
 
「今日は楽しかったね」
 
雅紀はさっきのことは無かったかのように、にこにこと友達みたいな笑顔でオレに言った。
 
「あっうん」
「ホントにありがとう」
「うん」
 
オレは馬鹿みたいに、うん、しか言えなくて。
雅紀は、ふふふって笑って。
 
「あのさ、しょーちゃん」
「ん?」
「俺、これから人と会う約束になってて」
「え?」
「ごめん!」
「えっうん、いいよ。雅紀、友達多そうだし」
「ホントごめん。この後、ご飯でも一緒にとか本当は思ってたんだけど、どうしてもって言われてさ」
「いいって。楽しんで来なよ」
「うん。ありがとう。コレ、大切にするから」
 
雅紀は、オレがあげたネクタイを指す。
 
「大切に使えよw」
「うん」
 
 
雅紀はそう言うと、まるで子供みたいに大きく手を振って歩いて行った。
オレは、笑顔で雅紀に手を振り返した。
 
 
 
 
 
つづく