乳がんの抗がん剤で痺れるのはなぜ？
乳がんの治療に用いられる抗がん剤によって痺れが生じるのは、主に末梢神経への影響が原因です。この症状は「末梢神経障害」と呼ばれ、特に神経毒性のある抗がん剤が引き起こします。具体的なメカニズムや要因について説明します。
抗がん剤の神経毒性
抗がん剤の中には、細胞の増殖を阻害する作用を持つものがあり、これはがん細胞だけでなく、正常な神経細胞にも影響を与えることがあります。特に以下のような抗がん剤が末梢神経障害を引き起こしやすいとされています：
タキサン系（パクリタキセル、ドセタキセル）
プラチナ製剤（シスプラチン、オキサリプラチン）
ビンカアルカロイド系（ビンクリスチン、ビンブラスチン）
末梢神経障害のメカニズム
末梢神経障害は、抗がん剤が以下のようなメカニズムで神経細胞にダメージを与えることで発生します：
・神経細胞の直接的な損傷:
抗がん剤が神経細胞のDNAや構造を破壊し、正常な機能を妨げる。
・酸化ストレスの増加:
抗がん剤が神経細胞に酸化ストレスを引き起こし、細胞を損傷させる。
・血流の減少:
抗がん剤が血管にダメージを与え、神経への血流が減少することで神経が酸素や栄養を十分に受け取れなくなる。
症状
末梢神経障害によって生じる痺れや痛みは、主に手足の末端部に現れます。症状の具体例としては：
・手や足の指先の痺れやチクチク感
・感覚の鈍化
・筋力の低下
・痛みや灼熱感
対策と治療
末梢神経障害の治療には以下のような方法があります：
抗がん剤の用量調整や変更:
神経障害がひどくなる前に抗がん剤の用量を調整したり、他の薬剤に変更する。
症状緩和薬:
痛みや痺れを緩和するための薬剤（プレガバリン、ガバペンチンなど）を使用する。
物理療法:
理学療法やリハビリテーションによって、神経機能の回復を促進する。
これらの方法によって、神経障害の症状を軽減し、患者のQOL（生活の質）を向上させることが目指されます