空手備忘録③空手大会観戦記ー7 | 極真空手守山支部長のブログ

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名古屋市守山区の空手道場
名古屋市守山区向台2-1605 天子田コミュニティセンター 土曜日18時~20時 21時まで開放
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極真会館尾張名古屋松田道場(松田伸雄総師範) 電話(0568)85-5533

第17回全日本空手道選手権大会

1985年に大学を卒業して就職し、静岡県の東部にある沼津市に赴任しました。その年に初めて全日本大会を観戦に行きました。第17回大会でした。東京へ在来線で行ける距離でもあり、これから毎年秋の全日本大会観戦が恒例行事のようになり、職場の格闘技好き数名と東京観光を兼ねて毎年東京に向かいました。

第17回全日本大会はやはり当時の極真3強と呼ばれた同学年の松井、増田、黒澤の熾烈な戦いが凄かったです。とても同い年とは思えませんでした。

準決勝の松井章圭×増田章は千葉県北支部時代にトップ選手となり総本部に移籍した松井と、石川支部時代にトップ選手となり東京城西支部に移籍した増田のライバル対決。城西仕込みの強烈な下段回し蹴りで仕掛ける増田に対して松井も下段回し蹴りで応戦。互いの正確な脛受けから下段への受け返しが印象に残っています。時おり出す松井の上段の大技の印象の差か松井の判定勝ちとなりました。
松井×増田

決勝の松井章圭×黒澤浩樹は、増田と何度も延長を重ねた松井と、ブラジルのジェームス北村から早々に下段回し蹴りで合わせ一本勝ちした城西支部の黒澤の戦い。前年の全日本大会初出場初優勝の黒澤は凶器とも言える下段回し蹴りで積極的に攻めるが松井も下段回し蹴りで返し、時おり上段の大技と増田戦と同じ様な展開。延長での突きの打ち合いでやや松井の印象が良く松井の判定勝ちとなりました。
松井×黒澤

松井は翌年の全日本大会も制し、その翌年の全世界大会で優勝と大会三連覇を果たし極真空手に一時代を築きました。


第22回全日本空手道選手権大会

1990年の第22回全日本大会は、翌年の第5回全世界大会の日本代表選抜試合で、普段にも増して激闘に次ぐ激闘でした。

増田章×南豪宏(白蓮会館)は両者ともに突きと下段回し蹴りで積極的に攻め合う展開。あの増田相手に互角に戦う白蓮会館のエース南は本当に強く、極真の牙城が崩される危機を会場の皆さん感じたと思います。結果は延長で決まらず試し割り判定で増田の辛勝。他流派の南に対して会場から大きな拍手が送られたことを覚えています。南は第9回全日本ウエイト制大会でも重量級で決勝に進むなど大活躍で、その後も極真ファンをハラハラさせました。
南×増田

決勝戦の増田章×緑健児は復活した小兵で業師の城南支部・緑の優勝を期待するファンが多い中、城西支部・増田が意地を見せスリリングな試合展開となりました。延長2回で増田の執念の上段回し蹴りがヒットし技あり、終了間際に緑も執念の胴回し回転蹴りがヒットするも技ありとならず、無冠の帝王と言われてきた増田が念願の初優勝となりました。
緑×増田

増田と緑のライバル対決は翌年の全世界大会決勝でも再度行われ、当時の二人の実力の高さを示しました。


第25回全日本空手道選手権大会

1993年の第25回全日本大会は、大山総裁にとって最後の全日本大会となりました。いつも最前列真ん中の役員席で熱心に試合を観戦され、お昼頃にはお弁当を食べながら観戦されていました。試合の決着がつかない場合の大山裁定は超法規的で、正に大山総裁がルールブックでした。開会式や閉会式での挨拶も話が多岐にわたり毎回本当に楽しみにしていました。話の最後は大きな声で「ありがとうございました❗押忍❗」で締めるのが恒例でした。

数見肇×岡本徹は東京の二大強豪支部である城南(数見)×城西(岡本)の正統派対決。お互いに若いがベテランのように落ち着いた組手で、正確な攻撃を繰り出す綺麗な組手を見せてくれました。延長となり数見の手数が上回り判定勝ち。この二人はその後永らく試合場で活躍しました。
岡本×数見

数見肇×田村悦宏は前年の全日本大会決勝戦の再戦で城南×城西対決。初優勝を狙う数見は摺り足でのフットワークで回り込みを駆使して戦い、二連覇を狙う田村は重戦車のような体格を活かしたパワフルな重たい攻撃で前に前に直線的に攻める戦い。数見の回り込みからの攻撃が有効となり数見の判定勝ち。数見は若いながら本当に上手いなと思いました。
数見×田村

ここに極真空手史上最年少の全日本チャンピオンが誕生しました。数見はその後もトップに君臨し、全日本大会で合計5回優勝、全世界大会でも2回準優勝と極真空手の伝説の選手となりました。

極真空手の全日本大会は第17回大会から毎年見に行っていますが、今回特に大山倍達総裁存命時の印象深い試合のあった大会を振り返りました。千駄ヶ谷の駅を出て目の前に試合会場の東京体育館があり、信号を渡るとダフ屋さんの集団がダミ声で「余り券無い〰?余り券買うよ〰!」の大合唱。開場前には待ちわびる観客で長蛇の列ができ、そこらここらで「押忍!」「押忍!」の声が聞こえる、試合前から一種独特な会場の雰囲気が忘れられません。

(文中敬称略)

第22回全日本大会、東京体育館の前で
1階アリーナ席から見た決勝戦
表彰式で入賞選手が整列