2003年の第8回全世界大会の際、私は黒帯となり壮年部の組手試合や型試合に積極的に挑戦していました。今回も道場の先輩、同輩、後輩といった多くの道場の仲間と大会を観戦しました。最終日前夜の東京の繁華街での飲み会も楽しい思い出です。
この四年間でロシアから強豪が多数誕生し、大挙して世界大会に参加して日本の驚異となりました。特に左下突き、右直突きから高速の上段回し蹴りのオシポフ、左下突き、鉤突きから高速の飛び後ろ回し蹴りのレチ、止まらない突きのラッシュと高速の後ろ回し蹴りのプレカノフ、前回の全世界大会3位で長身のピチュクノフは全員が優勝候補と言っても過言でないと思いました。
日本は三人の「木」山・村・立が活躍しベスト8に進みました。
木立裕之×アレキサンダー・ピチュクノフは25センチ大きなピチュクノフを翻弄し小よく大を制すお手本のような試合運びで判定勝利。テクニシャンの木立がピチュクノフのパワーを封じ込めた、上手い試合運びが光りました。

木立×ピチュクノフ
木村靖彦×セルゲイ・プレカノフは結果的に準優勝するプレカノフと木村は互角に戦いましたが、悔しい試し割り判定負けとなりました。中段回し蹴りが冴える正統派の実力者、木村にとって最後の世界大会となりました。

プレカノフ×木村
セルゲイ・オシポフ×グラウベ・フェイトーザは互いに上段の危険な一発を持つもの同士でしたが、ベテランのグラウベの試合運びが上手く判定勝利。独特の雰囲気を持つオシポフには勝ち上がってほしかったです。ロシア選手ですが応援していました。

オシポフ×グラウベ
そして日本のエース木山仁が、準々決勝レチ・クルバノフ、準決勝エウェルトン・テイシェイラ(ブラジル・第9回全世界大会優勝者)、決勝セルゲイ・プレカノフといった優勝候補相手の怒濤の厳しい三連戦を、動いて、受けて、かわして、攻めて、狙ってと全ての技を駆使したオールラウンドの戦いで、僅差の薄氷を踏む勝利の連続でしたが、見事に日本に世界大会王座を取り戻しました。日本が王座を見事に奪還し感動しました。

その後、地方大会後の祝賀会、夏合宿、若鯱杯大会の演武で木山師範とご一緒できたことは光栄であり、本当に良い思い出となっています。
(文中敬称の)

大会の四方割りの演武で板の持ち手に