ミッシェル・ウエーデル×アデミール・ダ・コスタの欧州王者対南米王者の最強外人対決は、ミッシェルのパワーとアデミールのテクニックが甲乙つけがたく、最後はアデミールの気迫が僅かに優ったと思いました。ミッシェルは実力的にはトップと思われ、世界大会では運がないなと思わざるを得ませんでした。

アデミール×ミッシェル
世界一の気合と大山総裁から呼ばれた奥村幸一×ニコラス・ダ・コスタ(イギリス)は、コスタの超高速後ろ回し蹴りで頭部を撃ち抜かれ撃沈。あまりに綺麗なノックアウトで日本武道館に戦慄が走りました。改めて海外選手恐るべしと武道館の観客は皆感じたと思います。

奥村×コスタ
緑健児×マイケル・トンプソン(イギリス)は日英のテクニシャン対決となりましたが、パワーに勝るトンプソンの勝ちとなり緑は引退…。写真は緑の飛び後ろ回し蹴りに対して、空中に飛んでいるところを前蹴りでストッピングするトンプソン。

トンプソン×緑
格闘機械(ファイティングマシーン)と呼ばれた黒澤浩樹×ピーター・スミット(オランダ)は、お互いに相手の肉体を破壊しあうような、今大会一の激闘と呼ぶに相応しい戦いで互角の展開。何とか勝った黒澤ですが脚のダメージで歩行不能となり、次の試合を残念ながら棄権しました。

スミット×黒澤
準決勝の増田章×アンディ・フグ(スイス)はアンディの踵落しからの下段蹴りが冴え渡り、増田惜しくも判定負け。アデミールにも下段回し蹴りで一本勝ちしたアンディは、踵落しも素晴らしいですが、下段回し蹴りが半端なく強いと感じました。初めて外国人の全世界大会決勝進出が決まりました。

アンディ×増田
準決勝、ただ一人残った日本の松井章圭×マイケル・トンプソンは決着つかず、延長5回にわたる激闘が繰り広げられました。そして最後に松井の上段回し蹴りでトンプソンが崩れ落ちた時は、日本武道館の観衆全員が総立ちとなり凄まじい歓声が響いたことを覚えています。正に感動の一戦でした。

トンプソン×松井
決勝の松井章圭×アンディ・フグは一進一退の攻防が続くなか、アンディの踵落しや後ろ回し蹴り等の大技を見切る松井の合わせ技が冴え、上段回し蹴りもヒットし、松井が日本の王座を死守しました。大山総裁が熱望した、華麗なる組手の持ち主が世界王者となりました。

アンディ×松井
大会前の夏合宿において、日本代表選手が揃って、大山総裁陣頭指揮の強化稽古で鍛え、監督、コーチも初めて任命し、これまで以上に必勝体制で挑んだ全世界大会でした。今大会は特に日本の指導陣と日本代表選手全員で勝ち取った王座だと思いました。