稽古の締めは組手でしたが、組手の前に道場の雨戸が全て閉められ、外から中が見えない状況で行われました。外部の人間に見られると不味いということでしょう。組手は何と「フリー」と呼ばれる極真空手ルールの実際に強く当てて倒す組手でした。四年生の「フリーは~じめ~!!」の掛け声で地獄のフリーが開始となりました。
フリーは伝統空手の試合に使う拳サポーターのみ着けました。ただし極真空手の組手と違うところは、暗黙の了解で先輩は上段突きオーケーという理不尽なものでした。
極真空手ルールの組手には多少の自信はあったのですが、伝統空手の試合に即した素早い上段突きを喰らい、中にはボクシングのグローブをはめて強めに当てる先輩もおりました。先輩方にも後輩には何があっても負けられないという意地があったと思います。
上段突きを当てられ口を切り血を流してうずくまり、グローブで脳震盪を起こし倒され、足払いで倒され後頭部を打ち、腹を踏まれのたうち回る、正に地獄絵図のような有り様でした。(つづく)