ブライアン・デ・パルマ監督が映画化を熱望したSF小説が、アルフレッド・ベスターの「分解された男」(1953)。
第一回ヒューゴー賞に輝く名作です。
24世紀。人の心を透視するエスパーの存在がシステム化した時代。犯罪を監視する警察のエスパー。それに対抗し殺人を犯した男。犯罪に加担するエスパー。虚々実々の攻防戦。
追う者と追われる者というヒッチコック的モチーフ、精神分析とアイデンティティーの崩壊(「殺しのドレス」「レイジング・ケイン」等のサイコ・サスペンスに通じる)等々、確かにデ・パルマ作品のキーワードを彷彿させる要素が見られます。
確かに……面白い!
ですが、残念ながら訳文(創元SF文庫版)に違和感があり、素直に楽しめない! 本当は、もっともっと面白いハズ!!
嗚呼……伊藤典夫訳「破壊された男」(ハヤカワSF)で読み直したい……
ベスターのもうひとつの代表的名作が「虎よ、虎よ!」(1956)。
25世紀。宇宙船で漂流していた男ガリヴァーは、自分を見殺しにした宇宙船への復讐を誓う。テレポーテーション能力を駆使した壮大な復讐劇。
面白かった!!
「モンテ・クリスト伯」を意識したという怒涛の展開は圧倒的な迫力! 特にダイナミックなクライマックスは圧巻!!
人間存在の根源に迫る宗教的な問いかけもあります。
実験的・感覚的な文体なので、これもまた現代的な翻訳で読みたい気もします。