コレクターのつぶやきー1としてアート作品の芸術性と売れる・売れないの話を書きましたが、案の定いろんな意見やコメントをいただきました。それぞれのご意見には、やはりアート作品=芸術品とみるべきだという方とアート商品という面も考えないといけないというスタンスが垣間見られました。

 美術品はアート商品でもあるので「売れる絵」を描くことも大事なことだと思っていますが、「売れる絵」を描けというと、いわゆる「売り絵」を連想して嫌悪感を持つ人がいると思います。

そこで、今日は「売り絵」と「売れる絵」は違うということを書いてみます。

 「売り絵」と言うと一般うけしそうな風景・静物・美人画などのきれいな絵や有名作家や今流行っている人気作家に似たような作品を何点でも描くということで、これでは芸術性よりも技術コンテストになってしまいます。そんな作品はアート商品としても長続きはしないと思います。

 一方「売れる絵」というのは全く別で、どんなテーマであろうとその作品が暗くて怖い絵であろうと売れる作品です。私は若い作家に「売れる絵」を描きなさいというと、世間のニーズに合わせたいわゆる「売り絵」を描けと勘違いする人もいますが、「売れる絵」というのはその作家の個性を生かしながらアート商品としても「売れる絵」を考えて欲しいという意味です。

 どんな商品もその時代の状況や市場を研究し、創り手の個性や独自性を生かした商品を創造することで社会に問うことが大事です。「売れない商品」には必ず何か理由があるはずです。それを反省し次ぎの商品を開発し続けることが重要です。

 従って、アート商品についても同じような態度が必要で、売れないような欠陥商品を発表することは芸術性を問う以前の問題だと思います。いわいる「売り絵」や同時代性を全く考えていない作品、単なる自己満足の作品はアート商品としても欠陥商品で「売れない絵」だということを自覚して欲しいと思います。



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