妊娠〜出産までの記録を、思い出しつつ書いていこう。


※妊娠がわかった日のことの記録です。素直な感情や、その日の記録が書いてあります。意にそぐわない方や読むことが苦痛と感じる方は、読むことをお控えいただけますと幸いです。


----------------------------------------


妊娠がわかったのは、1月某日。

私が日直(土日祝日に救急外来の当番をする業務)をしていた時だった。

その日の救急外来は大荒れ。

朝イチで救急車で運ばれてきたCPA(心肺停止)の患者さんを診て、ショックバイタルの患者さんを診て、一息つく間もなくwalk-inの患者さんを診る。

残念ながら…と患者家族へ頭を下げては涙ぐみ(私は看取りが苦手です。悔しい気持ち、無力感、そういった全ての感情に襲われてしまいます)、バイタルを安定させるために必死で治療し、患者さんの主訴に耳を傾ける。

息つく間もなく昼を過ぎ、ふとスマホを見ると、妻から着信の履歴があった。

普段滅多なことがないと電話してこない妻からの電話にギョッとした。


事故にでもあったか?

いやいや、であればこの病院に運ばれるはず。

何か具合が悪い?

あ、もしかして何かに怒ってる??


頭の中で一瞬にして色々な考えが浮かんでは消え、浮かんでは消え、心拍数は跳ね上がり、みるみる血の気が引いていく。

とにかく電話だ、電話をしないと。

でもここは救急外来、ここで電話しちゃダメだ、医局に戻ろう、でも急いだほうがいいな、そうだ、バックヤードでかけよう。


そんなことを考えてバックヤードに飛び込むと、看護師さんがお昼を食べていた。

「あ、ごめんなさい!!ちょっと電話したくて…」

そう言うと、看護師さんは「あーどうぞどうぞ!私食べ終わったんで!」と言って場所を譲ってくれた(ありがとうございました)。


お弁当の匂いが残る中、ふぅ、とひと呼吸おいて声色を整えて電話をかける。

冷静に、冷静に。

妻はすぐに電話に出た。

「どうしたの?」

そう聞くと

「あの…陽性なんだよね。ちょっと信じられなくて、2回検査したんだけど、2回とも陽性で…妊娠したみたい」


私は予想外の答えに全身の力が抜けるとともに、猛烈な嬉しさが身体中から込み上げてきた。

すっかり閉まっていた末梢の血管も一気に開いて、手足が熱くなった。


妻が妊娠した。

最愛の妻と私の間に、子どもができた。

自分はパパになる。

そんな出来事を身体中が喜んでいる。


妊活をしてはいたが、いざ子どもができるととにかくホワホワした。

そして猛烈に嬉しかった。これまで感じたあらゆる喜びとは全く格が違う嬉しさだった。

業務中だったので電話を手短に終えてERへ戻ったが、顔は緩んでいたと思う。看護師さんやERにいる医師、子供が熱を出して心配そうにしているおかさあさん、みんなに「私も子供ができたんですよ!!」と言って回りたい気持ちだった(当然言わなかったけれど)。


午前のヘビーさは忘れ去り、午後はノリノリで仕事をした。そしてその日は定時で仕事を終えて、小走りで家へ帰った。


家へ行くと妻が妊娠検査キット2本を持って座っていた。そしてもう1本検査キットを買ってきていた。

「念の為もう一回検査したくて。検査したことあるでしょ?(仕事でね)だからちゃんと検査してほしい」

というわけで、私が妻から検体(尿)をもらい、検査する事にした。

結果は陽性。

キットの感度を考えると、3本やって全てが偽陽性と言う確率はかなり低い。私たちはここで妊娠を確信し、3本の検査キットを妻に持ってもらって記念撮影をした。


とにかく嬉しかった。

これからは3人の生活が始まる。

きっと部屋もめちゃくちゃになるし、予定も全て子ども優先になるだろうし、それも子どもの体調や機嫌次第で水物だろう。

でも、そんな日々を送ってみたい。

早く子どもに会いたい。


確かに不安はある。まだまだ人間として成熟していない私が、ひとりの人間を育て上げることができるのだろうか?守り抜くことができるだろうか?

子どもは非行に走らないだろうか?子どもに嫌われないだろうか?何より、健康に育ってくれるだろうか?

不安はいくらでもあるが、不安だ不安だと言っても生まれてくる。まずは全力で受け止めるしかないんだ。


なるようになる。心配事が実際に起きるのは2%だと、何か複数の本で読んだ気がする。

とにかく、やってみよう。

何より、妻とならやれるはずだ。

ひとりじゃない。


いろいろな気持ちがあったが、とにかく私は本当に幸せで、妻に最上級の感謝の気持ちを抱きながら床についたのであった。






PVアクセスランキング にほんブログ村

にほんブログ村 子育てブログへ