名作の楽しみ‐613 日本奥地紀行 イザベラ・バード 高梨健吉訳
明治時代、イギリスの女性が日光から東北を経て、北海道を旅行した紀行文。一人の通訳を伴うだけの旅。その行動力と勇気に感動を覚えた。
最初のくだりで、つい最近、あの大久保利通が暗殺されたとあるから、出発は明治11年。当時はまだ鉄道はほとんどなかったので歩きと馬による移動。それでも通訳のおかげで、宿や移動手段は何とかなっていた感はある。日光でもそうだが、外国のしかも女性にまみえることなど全くないので、各地で人だかりがすごかったことが記されている。宿も不十分な設備のところばかりで、食事含めて大変苦労したことが随所に見られた。また、当時の日本の暮らしぶりの酷さがこれでもかこれでもかと描かれている。ただ、人々が礼儀をわきまえ、節度正しいことが驚き共に随所で書かれていた。これは徳川の世の名残なのか、明治時代の新しき世の息吹なのかその様子が好ましく描かれていた。そして、北海道においては、アイヌのことが人々の様子、生活の様子、宗教の問題が詳細に述べられており、この記述は貴重な資料になっているのではないかと思った。歴史的価値ある紀行文であとは間違いないと思った。
