長子の担任は、三年四年と連続である。今年度はクラス替えも無かった。
 昨年度の担任が産休に入る秋口に赴任してきた。
産休に入る担任は、我が子の要領の悪さを積極的に改善しようと、日々負荷をかけて成長を促した。
その時の記録は以前記した通りだ。

昨年秋に担任が代わるにあたり、子供も私もうっすらと期待していたのは事実だった。


幸いにして、非常勤としてやってきたベテラン担任はもう目くじらを立てることはなかった。
相変わらず漢字の覚えは悪かったが。
母子共に胸を撫で下ろしたのは言うまでもない。

ただ、ひとつ問題があった。
担任の給食の配膳方法である。

旧居の自治体は首都圏ではあるものの、財政難で給食の量が限界まで少なかった。お代わりなどの余剰分はほぼ無いに等しい。口をつける前の「お戻し」のみ許されており、運が良ければその戻し分がお代わりに充てられる。

現居の自治体は50万程度の地方都市だ。
給食費自体は旧居と変わらないが、地産地消で物価を抑えやすいのか量が格段に多い。残飯が経費がなどと学校説明会で口煩く言われる事も無かった。常にお代わりをする前提で用意されている。

言っておくが、長子は少食ではない。偏食でもない。強いて挙げれば甘いものは苦手な為、揚げパンやプリン、ゼリーなどは苦戦している。とはいえ、誰かが喜んで食べてくれるメニューなので、別段困っているということもない。

お代わりを前提で用意されている給食。
子供曰く美味しいようである。
彼女は少食ではない。女子にしてはきちんと食べる方である。
担任の配膳の何が問題なのか。

ちびまる子ちゃんの小杉のような、それこそトップで食べ終わってしまう子たちはそのまま普通にお代わりが出来るのである。
問題は中盤以降の普通の子たちだ。

残り少なくなりつつある給食を、ご飯とおかずを混ぜてしまうのである。担任が。
そしてまだ食べられそうな子たちに声を掛け、席を回りどんどん皿に入れていく。

仮にカレールーとご飯ならまあ問題ないレベル。
シチューでも我慢出来るだろう。

これが厚揚げと野菜の炒め物だったらどうだろうか。
八宝菜…丼にしたと脳内で思い込めば、どうにか耐えられるかも知れない…
多分私は無理だ。

流石に炊き込みご飯や赤飯の日は撹拌されることは無いようである。
ワカメご飯と青椒肉絲を混ぜられた日には、塩辛くて食べられそうに無い。

残飯を混ぜられ配膳される行為を、子供なりに非常に苦痛だとずっと言い続けている。

残させない給食指導は良く分かる。
少食で苦しんでいる子の苦労も良く分かる。
我が子のように特に好き嫌いもなく良く食べる子が、何を今さらと思うかも知れない。

ただ、クラスの大半はさほど苦痛に感じていないというのだ。
早食いの子は普通にお代わり、遅い子にはお代わりは回ってこない。皺寄せが来るのは、時間内に食べ終わり胃にゆとりがあるような、至って普通の子たちである。
普通の速度の子でも男子は余り気にしていないようだ。

もし外食で同じ事をしたらどうだろうか。
マナーとしてあり得ないであろう。
お見合いであれば、確実にお断り対象である。
これを常識と思い込んで社会に出ないで欲しいと切に願う。

長子は言った。
別々に食べたい、ただそれだけ。ワガママなのかな。違うよね?

これが有事の際に空腹を満たすだけの食事なら、固いパンだろうが冷めて油が固まってるスープだろうが文句言わずに食べろとなるが、平時の給食、食育の時間である。

直接担任に抗議するのも角が立つ。
恐らく残飯率等栄養士さんから目標値が提示されているのだと思われる。
残さぬのも食育指導の一環と言われればそれまで。
誰に言えば良いやら…