このブログでは、百人一首好きの私が直訳・意訳を通して自分ならではのオリジナルストーリーを綴っていきます。

 

こんにちは。ついに本格的に、暖房の季節になってきましたね。朝、布団から出るのが嫌になる季節ももうすぐです…。季節ごとに聞きたくなる歌ってありませんか?和歌も当時はその様に詠まれていたのかもしれませんね。

 

 

さて今回は、

 

二二、吹くからに秋の草木のしをるれば

   むべ山風をあらしといふらむ

   ふくからにあきのくさきのしをるれば むべやまかぜをあらしといふらむ

 

(画像は百人一首の意味と文法解説(22)ふくからに秋の草木のしをるればむべ山風を嵐といふらむ┃文屋康秀|百人一首で始める古文書講座【歌舞伎好きが変体仮名を解読する】(https://honda-n2.com/honkoku-ogura-hyakunin-isshu-22)より借用)

 

 

この歌を詠んだのは文屋康秀(ふんやのやすひで)という人物です。官位はあまり高くありませんでしたが、歌の名手として知られていました。しかし、「土佐日記」を書いた紀貫之は文屋康秀の歌を酷評していた様です。

 

 

直訳を出すために、品詞分解していきます。興味のない方は飛ばしてください!

 

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吹く/からに/秋/の/草木/の/しをるれ/ば/むべ/山風/を/あらし/と/いふ/らむ

 

意味のわからなかったものなどを挙げていきます。

 

1、「からに」

「〜するとすぐに」という意味の接続助詞です。

 

2、「むべ」

「これは何なのか」と思った人も多いと思います。私もわかりませんでした。

これは「なるほど」と訳す副詞です。あまり見たことありませんよね?

 

3、「あらし」

これは「嵐」と動詞の「荒し」の掛詞だそうです。大抵平仮名になっていると、掛詞の可能性が高いですよね。

 

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これを踏まえて直訳すると、

 

「風が吹くとすぐに、秋の草木がしおれるので、なるほどだから山風を「荒し」と言い、「嵐」と書いているのだろう。」

 

まさに今の季節のことですね。山おろしの風が吹いた時に、季節を感じながら思いを巡らせている様子が窺えますね。日常のふとした瞬間に何気なく詠まれた歌という感じがします。その何気なさが、現代の私たちでも共感しやすくさせている様に思いました。

 

 

 

意訳などは飛ばします。

 

 

 

 

〈オリジナルストーリー〉

 

四季のある日本。移りゆく季節は、景色、気温、虫の鳴く音など視覚、触覚、聴覚など様々に楽しむことができる。私は特に嗅覚で楽しむのが好きだ。何を嗅覚で楽しむのか。それは、どの季節でも吹く「風」だ。特に秋の風は暖かな太陽と対照に冷たさを感じる。とても無機質な匂いがする。だからか、存在感が強く草木たちを枯れさせてしまう。しかし、これこそが秋の風の役目なのだ。この風がなければ、春の優しい匂いに包まれた風は吹かないし春という季節もこない。そんな少し切ない様なこの風は人に例えて言うなら、「冷徹に見える心優しい人」といったところだ。

今日もまた、山おろしが吹いている。他を寄せ付けないその風は「山から吹く風」と書いて「嵐」と書ける。これは山を「荒らす」ことで、次の季節を迎えるための「嵐」を巻き起こすことを表しているのではないだろうか。そんな想像をしながら、次の季節をゆっくり待つのも良いのではなかろうか。

 

文屋康秀さんがどんな人物か詳しくはわかりませんが、とても情緒のある人だなと感じて書いてみました。忙しなく生きていると、今が何月なのか、何曜日なのかわからなくなったりしますよね?私もよくあります。そんな疲れた時に、ふと空を見上げて深呼吸して季節を感じてみるのはいいことだと思います。そんなふうに、季節を楽しんでいる文屋康秀の様子を想像してみました。「風を感じて、少し余計なことを考えてゆっくり過ごす様な時間」。そんな時間を過ごせたら、私はとても素敵だと思います!

 

 

 

今日はここまでです。ありがとうございました。

他の解釈があるなどありましたら、是非コメント欄で教えてください!

 

 

 

(参考サイト、文献)

百人一首(22)吹くからに秋の草木のしをるれば 品詞分解と訳

https://nbataro.blog.fc2.com/blog-entry-106.html(2020年10月19日)

 

 

吉原幸子・中田由見子(1986-2004)『マンガ百人一首』平凡社.