このブログでは、百人一首好きの私が直訳、意訳を通して自分ならではのオリジナルストーリーを綴っていきます。

 

こんにちは。昨日に引き続き、今日も寒いですね。そして台風も近づいていると言うことで、皆さんも気をつけてくださいね。

この間、コンビニでスンドゥブが売っていて興味本位で買ってみたんですがとても美味しかったです。ぜひお試しを!

 

 

さて今回は、

 

一四、みちのくのしのぶもぢずり誰ゆえに

   乱れそめにし我ならなくに

       みちのくのしのぶもぢずりだれゆえに みだれそめにしわれならなくに

 

(画像は百人一首の意味と文法解説(14)みちのくのしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにしわれならなくに┃河原左大臣(源融)|百人一首で始める古文書講座【歌舞伎好きが変体仮名を解読する】(https://honda-n2.com/honkoku-ogura-hyakunin-isshu-14)より借用)

 

 

この歌を詠んだのは、河原左大臣と言う人物です。河原左大臣の別荘が、宇治にある有名な平等院鳳凰堂なんです!知ってましたか?

 

 

直訳を出すために品詞分解していきます。興味のない方は飛ばしてください!

 

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みちのく/の/しのぶもぢずり/誰/ゆえ/に/乱れそめ/に/し/我/なら/な/く/に

 

意味のわからなかったものなどを挙げていきます。

 

1、「しのぶもぢずり」

これは摺衣(すりごろも)と言う織物の一つのようです。今の福島県信夫郡(しのぶぐん)で産出する忍草の葉や茎を摺りつけて乱れ模様にしていたそうです。

そして「もぢずり」は「もぢりずり」の意味で、よじれ乱れた模様に摺り染めすること、もしくはその摺衣のことを指します。

 

2、「乱れそめ」

これは漢字で書くと「乱れ初め」となります。そう考えると、「乱れ始める」と言う意味だとピンときますね。

 

3、「なくに」

ここは本当にどう訳すのか分かりませんよね。この「な」は打ち消しの助動詞「ず」の未然形の古い形だそうです。その後の「くに」と合わせて「なくに」で、「〜ないのに」「〜ないのだから」と訳します。

 

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これを踏まえて直訳を出すと、

 

「陸奥の乱れ染められたしのぶもぢずりは、誰のために乱れるのか。私が心を乱し始めたのは私のせいではないのに。」

 

乱れてしまった恋心が伝わってきますよね。時々昔の人は、今より自分の心を表現したり主張したりするのが得意だったように感じます。よく「奥ゆかしい」などと日本人が表現されますが、古典作品を読むと外国に抱くイメージのように「主張が強い」感じがします。そういったところも、魅力の一つなのかもしれませんね。

 

 

 

「我ならなくに」は直訳では「私のせいではないのに」となります。これだと少し意味が取りにくいのですが、意訳すると「あなたのせいなのに」となります。「他の誰かではなく、愛する人しか自分の心を乱せない」という熱い恋心が窺えますね。

 

この歌は、恋人から心変わりを責められやんわりと言い返した時の歌とされています。心変わりとはつまり浮気のことですよね。そんな風に考えると、河原左大臣の純情を表した歌というより巧みな歌作りと恋のテクニックの持ち主だということを思わせますね。少し残念なような気もしますが…。

 

 

〈オリジナルストーリー〉

恋に生きる河原左大臣は、彼女がいても次々に好きな人ができてしまう。ではなぜ彼女と別れないのか。今回はその理由を探っていこう。

今回もカンカンに怒って駆けつける彼女。その怒りを甘んじて受け入れる河原左大臣。しかしずっと引いたままでは居ない。絶妙なタイミングで、ロマンチックな歌を詠む。「君が好きだから、浮気をするんだよ。結局僕の心を乱すのは、君だけなんだから。」と。これには彼女も敵わない。ここでお決まりの「次は許さないからね。」のセリフが決まって試合終了。これにはさすがと言うしかない。でも、浮気はほどほどにしないとね。

 

二人にとっての日常の一部で、ずる賢く生きる河原左大臣を想像して書きました。「あなたが好きだから浮気しちゃうんだよ。」とこっちが悪かったかのように感じさせる恋のテクニック。そしてひねりの効いた歌の技巧。その二つで結局彼女はほだされてしまうのです。いいカップルと言っていいのかなんなのか…と言った感じですが。歌の上手い河原左大臣だからこそ為せることですよね。

 




今日はここまでです。ありがとうございました。

他の解釈があるなどありましたら、コメント欄で是非教えて下さい!



 

(参考サイト、文献)

百人一首(14)陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに 品詞分解と訳

https://nbataro.blog.fc2.com/blog-entry-70.html(2020年10月9日)

 

 

吉原幸子・中田由見子(1986-2004)『マンガ百人一首』平凡社.