電車の中でのこと。

 

降りる人をかきわけて必死の形相で乗り込んできた男性のお年寄りがいた。

並んでいる人を無視して猛ダッシュ。

「なんなんだよ!」

ぶつかられて怒る人もいた。

それでも我先にと車内に躍り込んだ。

しかしながら車内に入って見回すと満席。

するとそのお年寄りは苛立ち、

「最近の若者は年寄りに席を。。。」

ブツブツと周りにはっきりと聞こえる独り言をつぶやいていた。

 

そのお年寄りの目の前に座っていたのは女子高生。

先ほどまで立って一生懸命に参考書を読んでいた。

受験勉強中なのだろうか。

表情は暗く、目も充血しており、疲れ切ったように、たった今、席に座ったばかりだった。

 

その女子高生は、目の前のお年寄りに気づき、深呼吸をひとつして、疲れた体にムチ打つように

立ち上がった。

「どうぞ」

 

そのお年寄りは、御礼もしなかった。

席をゆずるのは当たり前だと言わんばかりに席に座り、東スポ(娯楽新聞)を読み始めた。

 

何が正しいのか。

何が正しくないのか。

 

断面だけを見ても、善悪の判断はつけられない。

軽々に人を裁くことはあってはならないことだと、私は思うのです。