ずーっと片想いが好きだった
自由に好きな時に好きな人を好きなように妄想し、こうなりたいあそこに行きたいこんな会話をしたいと思い巡らせた
心は自由だから、どんなことでも、私の思うように好きな人は答え、望むことをしてくれる
一度行ってみたいと思っているお店にオシャレして出掛け、優しい言葉をくれる彼と楽しく笑顔で美味しい食事をする
ふと目が合う彼は優しい眼差しで私を見て、大きな心で全て受け止めてくれている
お店を出てもまだ帰りたくない二人は、手をつなぎ寄り添い川沿いを歩く
肌寒い風が吹き、彼がそっと私の肩を抱いてくれる
あ~、温かい!このまま時が止まればいいのに…

な~んてことも妄想では可能

朝、車で迎えに来てくれた彼と、温泉へドライブ
車内では二人が大好きなアーティストの曲が流れ、楽しいおしゃべり
温泉では、混浴じゃないから、壁越しの露天で会話したりして、出る時間を合わせる
お部屋でちょっと優雅な食事して…

だったり…

昼間のショッピングにも二人で行って、お互いの服を選んだり、カフェでお茶したり

夏は花火を見に、浴衣着たり、
冬は雪景色にイルミネーション…

どんどん妄想はふくらむ

今の私は、片想いと同じだから、勝手に楽しい妄想を繰り返す
考えてる時は楽しい
でも、
ふと我に返り虚しくなるのは、片想いでは無くなったせいだろう
彼に伝えたくなったり、こんな風には出来ないってわかってるから虚しくなる

それでも楽しいことを考えないと私の心が折れてしまう
片想いでいい、片想いが好き
そう思ってたはずなのに、やっぱり彼に私を好きでいて欲しい
好きだと言われた喜びは、片想いの楽しさを何万倍も遥かに超えてしまい、その気持ちを味わってしまったからには片想いでの楽しさを前みたいに味わえない
喜びには苦しみも漏れなく付いてきて、苦しみゆえに悲しく、切なく、もどかしい気持ちを抱え、それでも一つの喜びをまた与えられると、どんな苦しみも吹き飛ばしてしまう
その繰り返し
子供の頃から、充分な大人になった今でも、その繰り返しは変わらない
人間は、そうそう変わるものではないのだ

今日は暖かくて穏やかな日だ
妄想の扉を開き、別世界へ踏み出すには絶好の日和
深呼吸して、目をつぶり、心穏やかに、一歩進んでみよう
きっと違う世界が見えるはずだ

自分に嘘をつく今の私を、扉の向こうに捨ててこよう