10歳の誕生日にバースデーケーキのノウソクの火を消した瞬間あたしは前世の記憶の一部を取り戻した。
頭が混乱した。あたしの知らない人との思い出が突然沸いてきたんだ。
「あかり大丈夫」
お母さんがあたしに声をかけてきた。記憶を取り戻したせいでボーッとしてたのだろう。気付くとお母さん、お父さん、兄さんと未奈美(妹)の家族みんなが心配そうな顔を浮かべていた。
「あっゴメン!!なんか今日からあたしも二桁になったんだな~って色んな事考えてたらボーッとしてたみたいニコニコ」あたし精一杯笑顔で答えた。
その言葉にみな一様に安心したようで。
「じゃあケーキ食べよう!!
と言ったら興味はケーキに移った。
あかりは家族にバレないように小さくため息をついた・・・。

それから自室に戻るまであかりは努めて笑顔を作り、いつもと変わらぬ日常を演じた。
自室のベットの上に仰向けになり知らない男の子との思い出と男の子に対する恋愛感情に頭の混乱が治まらない。
「何なの一体。」
なぜこうなったのか彼は何物なのかその辺の記憶がまだ戻ってないだけにあかりの頭は余計混乱していた。
見知らぬ少年の事を好きという感情とともに何故か悲しみまであかりの心をうめつくした。
あかりはこの現象から逃げるように眠った。明日には嘘であってほしいと祈りながら。



翌日目覚まし時計が鳴る前に目が覚めた。まだ起きるには少し早い時間だったがあかりは愛犬「シベリアンハスキー」のレオンの朝の散歩に行く事にした。

レオンは走らないことにした。玄関から現れた大好きなあかりがいつもとは様子が違い元気が無く笑顔も浮かべていなかったからだ。そんなレオンの気遣いに気付かずトボトボ歩くあかり。そのペースに合わせるレオン。二人の散歩はそんなふうに始まった。
どのくらい時間が経ったのだろう。「あっかり~~!!
あかりの幼なじみの「真奈」がいつもと変わらない笑顔で声をかけてきた。
あかりがいま一番会いたかった親友だ。
あたしは10才で「死んだ」
生れつき心臓が悪かったせいだ。
「死ぬ」事は恐かったけど、不思議と受け入れられた。
この胸の痛みや家族の精一杯の笑顔を見続けるのが辛かったし。
でも、「隆平」の事は諦められなかった。
「隆平」とは幼なじみで保育園の時からの付き合いで、あたしは「隆平」好きだ。
だから「隆平」があたし以外の誰かと手を繋いだり、キスしたり、結婚したり、あたしがいなくなった世界では当たり前におきるはずの未来の事が絶対にイヤでイヤで諦めきれなかった。

だからあたしは死ぬ前から死ぬ直前まで神様に願った。「どうかあたしを記憶を持ったまま生まれ変わらせてください」と。
そして願いは叶った。
あたしは神様に死んだ後に会って願いを伝えた。
条件付きで願いを叶えて貰える事になった。
一つ、「隆平」との記憶以外を消す事
一つ、「隆平」に前世の自分を名乗り出てはいけない事
一つ、10歳までは記憶は戻さない事
一つ、タイムリミットは10年それまでに彼女になっる事
一つ、「隆平」以外の異性と付き合わ無い事
一つ、「隆平」の・・・。


あたしは「隆平」を信じてる。
「私たち」の両親は、昔からの長い付き合いだ。
私のパパ「一ノ瀬 拓真」とユウのパパ「九十九 英二」は小学校の時からの大親友で、付き合いはママより長い。
パパたちが言うには「俺達は懐友(ポンヨウ)だからな」だってさ。二人とも漫画好きだからね。
私のママ「一ノ瀬 あゆみ」とユウのママ「九十九 莉華」も高校時代からの大親友だ。
高校時代にパパたち四人で遊んだ事がきっかけで、意気投合して今でも大親友だ。仲が良すぎてパパたちを説得して隣同士になるように家を建てたくらいだし。
私たちが出会ったのも必然だったんだろうと思う。
ユウと初めてあったのは5才の時。
ユウのパパは転勤族で転勤先でユウは産まれたんだけど、遠くて会う機会が無かったんだって。
だから、葉月と檸亜ちゃんが三才になるのを待って旅行に行くことになった。
あっちなみに葉月は私の弟で檸亜ちゃんはユウの妹。二人とも私の二つ下だ。
あの頃の葉月はまだ生意気じゃ無かったし、檸亜ちゃんのブラコンは昔からだったな。
で、忘れちゃならないのは私の二つ上の姉「一ノ瀬 水無月」だ。
円香お姉ちゃんは初めて揃った時から私達5人(水無月・勇一・弥生・葉月・檸亜)のリーダー的存在だ。
今でも私を含めて四人とも頭が上がらない。
あの強引さと口の達者ぶりは誰に似たんだか。
ユウの事?それは初めて会った時から話すね・・・。