仏教、ヒンドュー教、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教、神道、その全ては自己の生産関係上優位な「家族」「友人」、エロス、個人の「内的目的（努力）」等の抽象存在を積極的に認め、それら抽象性の根幹を絶対者（生産関係の主体）として据えて（仏教の場合は個人の発足地点から空として据えて）小我（この私）が非行為的に振る舞う事で、仕合わせると説きます。

世俗的な環境（実社会）に小我（自己）が閉じ込められて落下する場合、抽象的生産関係と物質的生産関係（現実社会）とのギャップが生まれます。ここから以下全ての流れで、物質という形態や生命活動の形態化の干渉によって生産関係の根本に回帰しようとする非行為的な激情がエロティシズムです。

ここらへんで有神論的実存が体感に位置し、ここではこれより下記に記すあらゆる主義を状態として認めるような、円錐的な体感です。政治形態、国体というのは、ここをエビデンスに生起しており、ここに個人の体感の時間の持続性があります。

ここから更に落下する、つまり生産関係上優位な（自然、国家、経済圏）抽象性（言葉、音、家族、友人）という文化から生えている私ではなく、それら生産関係という内容は即ち形態であり、本来この私は外界と和合していて自由であるとする無神論的実存主義があり、自分の全体が物理等の一環として空間的に繋がっていると解釈する共産主義思想が生起します。ここで社会（空間の形態化を進化と定義する）という発想が生まれて来ます。

ここら辺では、抽象度は低いながらにモノとの繋がりや、それより抽象度の高い労働（隣の責任）という空間の中にいるので、個人主義者が時折体感するマインドフルネスがある程度常時的になっている状態です。時間の持続性の体感と、個人主義の併存的空間の間の空間です。

これ以下になると、ニュートン的な横の絶対時間が生起して、個人主義と呼ばれるような体感で、個々の併存的空間を生きます。ここまで来ると現実の時間は消滅し、全体の中で自己が生えているという日常的な体感はほとんどなく、感謝や反省によって一時的に全体の流れを回復するのみに留まります。個人から関係付けたあらゆる思考的なアイデアで経済活動、家族形成、恋人形成を行い、ここで職業という認識が生起します。そしてそれらの獲得という外的方向の新たな目的論が形成されます。

ここから更に落ちると構造主義と呼ばれているような体感になります。例えば、脳科学によれば、人はこうであるから、このような社会形成にはこのように振る舞うというような具体的に切り取った事を基準に自身の行動を規定します。ここら辺で分かり易く、表情や動きが不器用になって来ます。既に規定され体感している物質的な作用の働きに対して、構造的に再度理解するという事を求めると表情や、言葉のアクセント迄具体的、形態的になります。行動目的も具体的になります。

そして元々ある物質作用同士をくっつける、テクノロジーの発展を進歩と定義します。先に有るエロスはこのラインに分解されているので、最新機器やプラモデルを組み立てたりして、モノとの繋がりを深めて、併存的空間より抽象空間である共産主義的な空間迄戻ろうとします。

この形態化の一連の流れ、落下の方向性に沿うような体感を進歩主義と言います。

構造主義や進歩主義というのは既に政治形態で言うところの個人主義の傘下です。

ここから、落下すると構造主義に憧れながら、自分でその構造に現実を当て込もうを探すようになり、苦しみます。更に落下すると外側に神（実態）を置く偏執的個人主義になります。これは人の外的個性を独立個性と認識し、稼げる職業、稼げない職業が固定的範囲を持ち、購買対象による全体性の少量回復が、ショッピングとして独立存在していると認識しています。併存的空間の苛烈化、固着化です。メンタリズム等の需要はここです。

諸現象が外側に実態（独立存在）として有るという認識です。ここで使う実態という言葉も固形の意味に捉えます。

社交の場において、相手が実態だと定義して、抽象性は帯同していないので、相手に徹底的に合わせたり、力関係によっては相手を徹底的に軽視したりします。

人間の体感（認識）が落下する時はこのような感じです。

戦後文学というのは、大抵の場合、無神論的実存主義であり、書店に並ぶ自己啓発本は個人主義的です。脳科学や商業的心理学は大抵構造主義的です。自伝なんていうのは読み手や書き手にとって、個人主義に落下した後に必ず出てくるロマン主義です。

分かっている人は、政治形態が抽象性を持たない個人主義になると、必ず差異的個人主義、偏執的個人主義に国民が落下してゆくと理解しています。個人という形態からスタートすれば、当然それはより形態化、消費されてゆくからです。

仏教の貪瞋痴、当グループが言うところの現象欲的になっていくという事です。

以上の宗教、また生産関係から落下したあらゆる主義の認識状態というのは、決して固定的ではなく、生産関係に基づく非行為的な経験の構成と、自己に基づく行為的な経験の構成のパーセンテージによって状態的に形成される日常的な体感です。状態が悪い人であればある程、非行為的、つまり抽象性の経験量を増やせば、体感（認識）の変化を早く実感出来ます。

経験の構成が良くなればなるほど程保守的（時間を体感する。）

理性的、情熱的、全体的、知性的

経験の構成が悪くなればなる程リベラル的（併存的空間を体感する。）

感情的、悲観的、自己愛的、思考的

保守の自由の定義がコト（抽象性）に仕えるのに対して、リベラルな体感の人の自由の定義は目先の悦を追いかけ、苦をどかす行為です。

精神は非行為によって、生産関係を辿って、深淵な抽象性に回帰する事、それを実感を持って体感する事が出来ます。

内と外（対機）