お友達が奈良岡朋子さんの思い出と追悼の言葉を

綴っていました。


まだもう少しお元気でいてほしいと願う人ばかりが

いなくなってしまうような気がしてなりません。

本当に映画界、演劇界のみならず、

日本の芸術分野にとっても大変な損失でしょうね。


残念です。


皆さまもネット等で既にご存じかもしれませんが、

とても胸を打たれたので、

ここに記します。


奈良岡朋子さんがしたためた死後のメッセージ全文


「新たな旅が始まりました。

旅好きの私のことです、未知の世界への旅立ちは何やら心が弾みます。

向こうへ着いたらすぐに宇野さんを訪ねます。

もう一度あの厳しい演出を受けたいと長い間願ってきました。


でもね、宇野さん、私はあなたよりずっと長く生きて経験を積んできましたからね、昔のデコじゃないですよ。

『デコ、お前ちっとましになったな』と言われたくて

これまで頑張ってきたんですから。腕が鳴ります。


杉村先生とももう一度同じ舞台を踏みたかった。

どんな役でもいいからご一緒したい。ワクワクします。


両親に挨拶するのは二、三本舞台をやって少し落ち着いてからにします。

それからは裕ちゃんや和枝さん(美空ひばりさん)と思いっきり遊びます。


これが別れではないですよ。いつかはまたお会いできますからね。

それでは一足お先に失礼します。皆さまはどうぞごゆっくり。奈良岡朋子」





こんなさよならの仕方ってある?

見事としか言いようがないです。

この世とのお別れを悲しむのではなく、


次の楽しみが待っているからと

なかなかそうは言えないですよね。



昨年12月にだんなさまと二人で

土を喰らう十二ヶ月 という映画を観に行きました。

主人公の沢田研二さん(原作者の水上勉役を演じました)の義母役に

奈良岡朋子さんが出ていらしたんですよね。


あまり人を寄せ付けず、

自給自足で

今にも吹き飛びそうな小さな小屋に一人で住んでいる、


そういう役どころでした。



ある日、義理の息子である沢田さん(水上勉)が訪れた時に

義母が亡くなっていて、

慌てて葬儀を執り行うシーンがあったんです。


それがとても印象的で、

涙が出るほど胸にジンと来ました。


畑から食材を採って葬儀用の食事を作り、

村のみんなが集まって

にぎやかに語り合う。笑う。


ああ、遺された側がこんな風に和やかな時間を過ごしてくれたら

それが一番うれしいだろうな。

今回の訃報を聞き、

このメッセージを知って


ふと、

あの映画の 

葬儀であって葬儀ではなかったような

温かなシーンを思い出しました。




メッセージの最後の

「皆さまはどうぞごゆっくり。」


クスッと笑える言葉を餞(はなむけ)に送って下さった

奈良岡さんのお人柄が窺えて


ああ、私もこんな風に生きたい、サラリとさよならを言いたいな。



今ごろはきっと

天国で皆さんとお会いして飛んで歩いていらっしゃるでしょうか。

大忙しね。