Peace
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2012 11/28
65点
想田和弘監督の観察映画(ドキュメンタリー映画)3作目で番外編である。
観察映画の過去2作では、悪く言えばあくが強くそれこそ映画のキャラクターのようで見ているだけでもおもしろく笑える場面もあった。
Peaceでは介護事業を扱ってるからか、淡々とした日常であり観察してるという意識を強く感じた。
柏木夫妻の福祉有償運送と家でのネコを中心に進むが、何か事件のようなことは起きないがそれだけに 日常というのを強く意識するし言葉の感じ方も通常の映画とは違った。
柏木夫妻以外の主な登場人物である癌を患いホスピスの自宅介護により、死期を待っている。
お迎えは勝手にやってくると言いながら、肺が原因で痛みがあるのにタバコを唯一の楽しみとしている。
そして、橋本さんは「人に迷惑をかけてはいけないから」とよく口にしている。
戦争で死ぬのは名誉なこととして教えられたのを告白したのを聞くと、死期を早めようとしてるのかとも思ってしまう。柏木夫妻の自宅では、飼い猫たちは泥棒猫に追われるように餌を食べなくなり居場所をなくしていく。
今までの場所で泥棒猫と共に一緒に餌を食べる飼い猫が映され、映画は終わる。夫の嫌な部分の告白にノーコメントと言う柏木夫妻、柏木夫妻と事業相手である高齢者、飼い猫と泥棒猫など共存の結果として平和の一面なのかもしれないと思わせてくれる。
猫同士が一緒に餌を食べたり、夫婦の嫌な部分も見逃すような共存が小さな平和となり、それがいわゆる平和な日常に繋がるのだろう。
台本がある劇映画と違い観察映画は人それぞれ感じ方や感想が異なると思うし、この感想はあくまで私が感じたことである。
ドキュメンタリーでありながら、監督自身もテーマや意図があり撮っているわけではないのでそれこそ正解はない。だからこそ、また見た時は違う見方をするかもしれないし新たな発見があるかもしれない。