ウィステリア 外伝① | 明鏡 ーもうひとつの信義ー

明鏡 ーもうひとつの信義ー

韓国ドラマ『信義ーシンイー』二次小説


やっぱり終われなナイ(〃ω〃)
テソンのその後と二人のレス❤︎



「オンニーどうしてこんなに早く帰って来たんだい」
ヘスクが私の顔を見るなり驚いた顔をした
「奥様を確認できたからね」
「今回は嘘じゃかなったのかい?」
「やっと肩の荷が降りたよ」
身分不相応なくらいの家を坊っちゃまは故郷に用意をしてくれた

「テソン、申し訳ない」

奥様が亡くなった時に此処に戻っているはずだった
テソン、あの子を・・・あの子を・・・頼みます
元々体の弱かったお嬢様は流行り病で呆気なく霊山へと行ってしまった
私が代わってあげたくてもそうはならない

「もう思い残す事などないよ。良い奥様だった」
「テソンが言うくらいだから出来た方だったんだね」
「坊っちゃまが大層惚れた女だもの」

あの繊細な坊っちゃまを上手く操るなど
私でもできない

「そのまま都に居ちまえば良かったのに、何でこんな田舎へ戻って来てしまったんだいオンニ」
「ヘスクを置いて行くのが忍びなくてね」
「やだよ、オンニ」

ふっくらとした頬を染めて笑うヘスクを見て私も大声を出して笑った
あのままあそこへ居座っちまったら帰る機会を損ねてしまう
あの二人は、まだ始まったばかりだと言うのに
でも子どもができ人手が必要となった頃には
「私はもう足手纏いさ・・・情けないが」
走る幼な子の後などもう追えやしない
それどころか支えられ坊っちゃまに余計な迷惑がかかる

「私はね、ヘスクと一緒に此処で豆の筋を取りながら暮らすのさ」

此れでいい、此れで良いんだ
奥様だって、旦那様だって分かってくださる
ーテソン、もう良いわよー
記憶から薄れだした、優しいお嬢様の顔が私の瞼に浮かぶ
お願いです、お嬢様の顔を忘れないうちに迎えに来てください
開京のお屋敷から戻ってひと月程経った頃
村に早馬が駆け込んできた
馬に乗っていたのは、見慣れぬ少年が一人

「チェ家の乳母、テソン様はどちらに」

大きな声で何度も叫びつつ村中を駆け回った
知らぬふりを決めていたと言うのにヘスクが
「テソンオンニなら、あの人だよ」
やめておくれよ、チェ家の乳母と言っている以上
坊っちゃまの使いに決まっている

「私じゃないよ」
「小さくて丸くて・・・声が大きくて、気の強い」
「なんだって」
「医仙様、ヌナが言っておられたので」

医仙、そんな大層な方と知り合いになっちゃいない

「まさか、ウンス様かい」
「はい、ヌナ、姉様です」

女医とは聞いていたが、あの噂の医仙様だったとは
天界の医員を王様はお迎えになった
美しい上に、聡く先の世が見えるとか

「坊っちゃま。やはり坊っちゃまは、私の坊っちゃまだ」

普通の女など選ぼうはずがない
しまったその天界のおなごにあのような事をさせてしまったとは

「テソン様、ヌナが・・・ヌナが・・・お呼びです」
「待っとくれ、私は医仙に合わせる顔がない」
「何を言っています。一日も早く連れて来いと私は命を受けました」

少年は私の腕を掴み馬に乗せようとした
「オンニ、私が荷物を纏めてくるから」
「ヘスクやめとくれ、私は大変な事をしてしまったんだ」
「オンニもしその医仙様が怒っているなら今首を切られるはずだよ」
黙っといでと叫び、私の家へ向かって走っている

「テソン様、隊長とヌナが」
「坊っちゃまとウンス様が?」
「耳を・・・」
シンと言う少年は私の耳元でこう言った
「あの日以来無い、と伝えて欲しい・・・言えば分かると」
まさか、そんな・・・

「今すぐまいります、坊っちゃまの元へ」

私はヘスクの持って来た包みを肩に括りつけ
「ヘスク、いつ戻れるか分からないよ」
「オンニ、いつか私も都に行くよー元気でねー」
「必ずだよ、待っているから」
少年の乗っていた馬に無理やり乗った
馬は左右に揺れながら道を歩きだす
手綱を持ったシンが
「三日、三日で開京へ行かねばなりません」
埃まみれになった頬を手の甲で拭くが汗で余計に汚れていた