札幌市の秋元克広市長は
インタビューに応じ、招致(中抜き)を目指している
2030年冬季オリンピックの開催計画の修正版を早ければ
今月末にも公表すると明らかにした。
全体の経費削減と開催の意義を明確化することが
見直しの柱で、招致活動に対する市民の理解を得る狙い
があるとみられる。
秋元市長は
開催計画について「今月末から来月頭(初め)には出し
市民といろいろな議論をしていきたい」と述べた。
秋元市長は
東京五輪閉幕後
「持続的なオリンピックの開催がどうあるべきなのかを
考えて、招致計画を一部練り直す」と表明。
新型コロナウイルス感染が拡大する中で開催され議論
呼んだ東京五輪を受け、開催計画を見直す考えを示していた。
計画見直しの柱の一つが開催経費だ。
従来の計画では総額3100億~3700億円で、このうち
施設整備費としての市の負担額を400億~600億円と試算。
16の競技会場については
既存施設の建て替え1会場
▽既存施設の改修12会場
▽改修なし3会場――として、新設する会場がない
「コンパクト五輪」を強調していた。
東京五輪の開催経費が想定より膨らんで批判を浴びた
ことを念頭に、市スポーツ局招致推進部の担当者は
「見直して市の負担額をできるだけ抑える」
としている。
見直しのもう一つの柱が、五輪の「レガシー(遺産)」の明確化だ。
担当者は
「五輪を開催したら何が残るのかを市民に分かりやすく
伝える具体的なレガシーを検討している」と説明する。
市は今夏以降、30年に向けて、自動運転の水素燃料バス
の運行▽札幌ドーム周辺のスポーツ交流拠点整備
▽市中心部の歩道の段差解消や点字ブロック設置――など
の街づくり計画案を矢継ぎ早に示している。
1972年札幌冬季五輪開催に合わせて市営地下鉄南北線
の一部区間が開業したことなどを参考に
五輪招致や30年度末を予定している北海道新幹線の
札幌延伸を機に都市インフラをリニューアルし、レガシー
に位置付けたい考えだ。
秋元市長はインタビューで
「今後10年はハードとソフトをリニューアルしていく
時期になる。オリンピックという目標に官民で当たり
新たな街づくりを進めるきっかけにしたい」と強調した。
ただ、五輪招致に関する
市民の支持や関心は薄い。
市は計画の修正版公表後、19年以降休止していた
「市民との対話事業」を再開させ、市民の広い理解を得る
形で招致活動を進めたい考え。対話事業終了後には
招致の是非を尋ねる市民アンケートも実施する方針だ。