安斎さんと一緒に現場に向かった。


カズのこと、しつこく聞かれるかと思ったけど、店をでてからは、一言も聞かれなかった。



結構、仕事人間なのよね。この子。


社長の娘であり、この外見…
誤解されがちだけど、仕事は熱心。


汚い手を使うとこも…
あざといとこも…

私は 別に気にならない。


本人が そういうのも仕事だからと、
割り切ってやってるんだから、、
騙されるヤツが馬鹿なだけ。







突然…


それまで 仕事の話をしていた安斎さんが、
声色を変えた。




「…梨恵さん、、」




「…なに。」




「……相葉さんって、、知ってます?」




「………ええ。」




「さっきの店、相葉さんと二宮さんで やってるんですよ。」





「……そう。」





話は それで終わった。











怖い子…



敵に回すべきじゃないわね…







店に着いた。
内装は 細かなところ以外は 終わっていた。



一人で 資料片手に 隈無くチェックしていく。








…カズの顔が 脳裏をかすめる。









カズ…

慌ててた。



びっくりするよね



私だって…

あの店の名前と、、
店の中に カズの姿をみつけた時は…



心臓が止まるかと、、思ったから。



それから打ち合わせの為にココに来る時は
いつも カズの店の前を通った。



ばったり…
会えるかも、、って 思って。






けど…一度も 会えなかった







だから今日 安斎さんが 待ち合わせ場所をあの店に選んだ時、嬉しさと同時に胸が締め付けられた。




カレはもう 
その想い人を手にいれたんだろうか…



って、、考えたら…



たまらなく苦しくて









でも、、


多分まだ…




いや、一生あのままでいるつもりなんだ…






カズ…




ごめん。






私はまた…



同じ過ちを、繰り返すのかもしれない





ううん。




あの時の私は幼すぎて…




ただ 大切なカレを傷つけたかった





今はもう 充分に大人になったんだから




違う道を選べるはず




私は カレを…




一度も忘れたことなんてなかった





一生に一度の恋





大切なひと…





一度も触れたことのない





大切な あなた…


























第一章  終