カウンターに戻ったオレに、
まーくんが慌てて寄ってきた。




「……梨恵…じゃん、、」




「ん。」




「…なんで、、。おい、まさかとは思うけど、連絡」




「するわけないだろ? 」




「…そうだよな。」




「安斎の店の、、アドバイザー?とかなんとか 言ってたけど……たまたまだよ。偶然。」






まーくんが 心配そうな顔してみてくる。




まーくんは 知ってるから。



オレが りえに 
どれだけ傷付けられたか…

一番近くで見ていたから…





そして…オレがりえを、、、



どれだけ愛していたか…



知っているから…













でもさ…忘れてるよ?





「…ゆりが いるんだよ? オレにはさ。」




「あっ…」って、




小さく言って、まーくんが 笑った。




「そうだよな! あ〜 〜 よかった!! 梨恵と再会する前に 菜月ちゃんがいてくれて! よっしゃ! ランチ作ってくる。」





まーくんが 安心して 奥に入っていく。






自分が言った言葉で、心があったかくなってた。




  オレには ゆりがいる





心の中に咲く
一輪のゆりの花のように



確かな存在を
ココに感じてた













安斎と、りえ…は、
ランチを食べるとすぐに 会計しにきた。




安斎「二宮さん、今日は ゆっくり出来なくて…。またきますね♡」




はぁ…
こいつには、何を話してもムダなんだろうな…





梨恵「…ふふふ。安斎さんは、カズに惚れちゃってんのね。可愛い。」




安斎「…え〜〜 梨恵さん、もう2人がどういう関係なんだか、教えてくださいよ〜 気になって仕事になんない〜!」





梨恵「……ん〜そうね、、」




りえは 得意の上目遣いで 瞳を揺らしながら
オレをみると、釣り銭を渡した手を、、



そのまま握ってきた。




…… っつ!!





梨恵「…ずっと 忘れられないひと、、かな。」




瞳の中に オレを 写し

優しく笑った…



かつて…
それが どれだけ欲しかったことか…




捨て去った、、と 思っていた感情が…
一瞬 …胸の深いところに 顔を覗かせた…





安斎「えっ。。それって、、」




梨恵「カズは、昔からモテるから。ずっと…私の片思い。」





そう言って 手を離すと、




梨恵「…じゃあね。また…来るね。」





安斎と、、店を出ていった。













急いで 手を洗った。

穢れが、ソコについたみたいに…


今 一瞬湧いた自分の感情そのものさえも、
流しさって…しまいたかった。






そんなオレを…まーくんが見ていた。





その視線に 気付いてたけど、

何も、、言えなかった…




言えなかった  んだ…