菜月を見送って、駐車場に戻った。



オレの姿が見えると 
楠はすぐに 運転席から降りてきた。



「…専務、、」




「…無事、行ったよ。楠に会いたがってたよ、お礼言いたかったみたいだな。」




「…私は 彼女の為に 何かしたことは ありません。自分の為に したまでですから。」 




「… フッ…分かったよ。そういう事に しておこう。」





数日前…

菜月が 一人で発つのを聞いて、見送りに行こうかと 冗談半分で言ったら、直ぐに 予定を調整した 楠。


プレゼントまで用意していたのに、いざ空港についたら、、自分は 遠慮しますとか言い出して…


いくら言っても 首を縦に振らなかった理由は、
よくわからないけども、、



勝手に… 別れが苦手なのかと 考えた。




「…ああそうだ。プレゼント、喜んでいたよ。大分 恐縮してたけど。」




「…そうですか。」




口調は 素っ気ないが…目が優しい色になる。



聞かなくても、菜月のことを気に入っているのは 分かっていた。




高速を走り出す。




「…専務、、社につくまで 少し仮眠をとられてください。…今夜は 遅くなりますので。」




「…ああ。岡田社長のとこのパーティ、、か。」 




「はい。…お嬢様へのプレゼントは、ご用意させていただきました。」 




「…ありがとう。じゃあ、少し 休ませてもらうよ。」




そう言って 目を閉じた。



眠り は、しない




色々考えなければならないことが、
頭の中で 回転しだす。



それらを 順番に、整えてく。




楠も オレが眠ってるとは思っていない。



ただ…



一人で思考する時間をとってくれてるんだ。




助かる



その気遣い…





ん、、、そうだ。




目を開け 時計をみる。



まだ時間、、あるな。





「…楠、〇〇出口で、降りてくれ。少し早いが、軽く食いたい。どうせパーティ じゃ、何も食えないからな。」




「…これから、いつもの オーガニックの店で テイクアウトしようと考えておりましたが…」




「…行きたいとこ、あるんだ。」




「わかりました。〇〇出口で 降りて、どこに行かれますか?」




「『 にのあい』 って、店。」




「…先日の、安斎コーポレーション 社長令嬢の件のお店ですか?」




「ああ。」




「…わかりました。」





楠は それ以上は 何も聞かなかった。



オレも 何も話さなかった。





目を閉じて、考えた。



…どうやって 楠を 店に連れていくか…








今まで考えたこともなかったけど…


楠を にのあいに 連れて行きたいって思った。



ニノも…お礼言いたいとか言ってたし。




無理矢理な理由をみつけてでも
連れて行きたくなってる自分がいた。