駅近の小綺麗な居酒屋で 飲んでいた。




今日の雅紀は いつもよりペースが早かったが、
..... 酔えないでいるようだった。




その理由がニノ達のことだということは、
2人の事を 全く話題にしないから 
かえって容易に推測できた。





だからあえて ...オレから 話をふってみた。




「...あの二人、上手くいってるかな?」





オレの言葉に 急にテンション上げて話し出す。





「当たり前っしょ!  だって お互いに惹かれあってるんだし!! それに、オレら2人が キューピーなんだからさ〜」






キューピーを訂正するのを諦めてた。
まあ、、なんでもいい。





「... キューピーのわりには、、寂しそうな顔してんじゃん?」





ハイテンションな雅紀に そうかえすと.....




図星...




だったみたいだ。





ちらりとオレをみて、
隠すのを諦めたかのように 静かな声で話始めた。





「...なんだろね。菜月ちゃんは いい子だし。可愛いし。カズにお似合いだって思うのにさ、、、なんか寂しいんだよね。」






複雑な感情だな…






「..... ぁのさ、、そのニノを想う気持ちにさ、名前をつけたらなんなわけ?」






「 う~ん  ...よくわかんないけどさ。。恋愛感情とは、、全然違うんだ。.....カズとどうこうなりたいなんて思ったことは、一度もないしさ。」






... 無理してるんじゃないのかと、思った。






「.....どっちかが女で生まれてくれば、よかったのにな。」






「...いや、そんなことない。今のまんまの関係がいいんだ。恋人になりたいわけじゃないから。」






「..... そうなのか? 」






「うん。...つかず離れず.....つーのかな。そんな関係がいいんだ。ずっと側にいたいだけ。」






それを恋愛感情って言うんじゃないのか…?
とは、思ったものの、、


それ以上は 聞かなかった。






「... オレがなんで『にのあい』が好きか、知ってるか?」





「ん〜 オレのメシに惚れてるんでしょ?」






「ま、それもあるけど。。2人を見てるとさ、安心するんだ。.....仕事で足の引っ張りあいとか 誰かを蹴落としてのし上がろうとか...そんな奴ばっか みてるからさ。「ああ、こんな人間も まだ残ってるんだな」ってさ。あったかい気持ちになるんだ。」







「...翔ちゃん  」






「...ニノはさ、変わんねーと思うよ。彼女が恋人になったとしても、雅紀との関係性はさ、変わらないよ。あいつ自身が、変わりたくないと思ってると思うし。雅紀とおなじだよ、大切なんだよ。お互いにさ。」







雅紀が 上を向いて目を閉じている。



...泣いてるのか?  と思った時、








「...でもさ、知ってる?」





少し酔った雅紀が、
イタズラっ子みたいに笑って言った。






「...なにが?」





「翔ちゃんがさ、恋人できても、オレ寂しいからね。」







ゴボッ..ゴホゴホッ...




口の中に入れてたモノが 全部出てきそうになったのを寸前で止めた。





「 だ、大丈夫? 」





雅紀が背中をさすってくれる。





「おまえさ〜 」





「ごめん。ごめん。.....でもホント。 二人とも、好きだから。」






突然の告白に、動揺し





「...そりゃ、オレも好きだけどさ…」



って、、、

言わなくてもいい告白をしてしまう オレ。






傍から見たら告白し合うアブナイ男達になっているんだろう。







「 うひゃひゃひゃ〜 ありがと〜 〜翔ちゃん。だぁいすき〜~」






言いながら雅紀は グラスのワインを飲み干すと色っぽい視線をオレに向け、






「今日 翔ちゃんち 泊まってい?」





って、聞いてきた。