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「…ただいま」

「おかえり、陽月。今日はどうだった?」

「…お父さん、どんなにイギリスの学校や人が良くても日本の学校に通いたいっていう私の気持ちは変わらないよ」

尭也が陽月宅の前で呆然としていた同時刻のイギリス。日本でいうところの体験入学から帰宅した陽月は出迎えた父親に自分の気持ちを伝えていた。

イギリスに来た翌日から毎日伝えているのだが、彼女の父親は聞き入れない。

親バカ極まりないが陽月の頭脳は世界中に必要とされるレベルの高さで、海外で活動することが彼女にとって一番幸せな人生を歩めるのだと心の底から思っているからだ。

そんな父親の思いを察し完全には無視出来ずイギリスでお試し生活をすることには承諾した陽月。

しかし彼女の幸せは海外にない。国内であっても尭也がいなければ陽月が幸せを感じることはないのである。

「お父さん、私は尭也と離れた状態で幸せな人生なんて送れない」

「中学生が何をわかったようなことを…いいか、陽月。男は尭也くんだけじゃないんだ、世の中には彼よりいい男が何万、何百といる」

「中学生でもわかる!人見知りで一人ぼっちだった私を気にかけて行動を起こしてくれたのは尭也だけだった!息をするみたいに自然に好きになったの!そんな人何万どころか何十人だっていない‼」

お互いに物分かりが悪いと思いあっていた親子は、父親の呆れたような言い方を機についに衝突した。



続く