「死ぬほど、愛してたんでしょうか?」
「解らない。…もう、今となっては…解らない…けど」
「けど?…」
「部長は、奥さんの浮気より…その相手が…」
「ジニ先輩、相手を知ってるんですか?」
「…――ぁっ、ぁ~…」
「会社のひと…ですか?」
「――――ぁ-―――」と、今までの饒舌とは違う…歯切れの悪い返事をした。
「俺も、知ってる…ひ…と…」
「――――――」
「言えませんよね。すいません、立ち入った事聞いて…」
「ユチョン…俺…だ」
「え、……」
俺は、店を出て…人ごみの中を、歩いていた。
雑路の中、背中を向けて歩いて行く部長の影が…その中に、見えた。
今の俺が、向かっている道の先のように…見えた。
俺は、1人ぼっちだった。
駅で、電車を待って居ると…無性に、プラネタリウムに行きたくなった。
プラネタリウムに着くと、ロビ―には人影は無く…
受付で、チケットを頼むと…
「あの~、1席しかありません。希望に添えないかも知れませんけど…それでも、宜しいですか?」と、聞かれ…
「…いいです」と、答えた。
もう直ぐ始まるらしく、室内は薄暗くなっていた。…ので、係員に案内されて席に着いた。
俺は、腰を降ろし…深々と体をソファの中に…沈めた。
心地良い音楽が流れ初めると…室内は、暗転と化した。
目を閉じれど、何時ものように眠気が…沸かなかった。
むしろ、脳が冴え…頭の中で、ジニ先輩の話が鮮明に甦ってきた。
「奥さんとは、そんな関係になるつもりはなかった。けど…」
「―――――」
「部長が、悩んでいる姿が…見るに見かねて…力になりたくて…奥さんに、話しに行ったんだ。その時。逆に奥さんから悩みを相談されて…」
「… 」
「幾度か、相談に乗ってるうちに…」…ジニ先輩の顔色は、正気さを失っているように見えた。
俺は、何も…言えなかった。
説明は、耳に入らなかった。
眠る事の無いまま、終りのチャイムが…鳴った。
俺は、人の波に流されるように…ロビーに出た。…その時…
「あの~、すいません?」と、後ろから…声が
俺が、振り向くと…奴が、…いた。
つづく


