あくる日の葬式には、昨日ほどの人はいなかった。
出棺が終り…後片付けをしていると…
「ユチョン、今夜…飲まないか?」と、ジニ先輩が声を掛けてきた。
「はい…いいですよ」
「じゃ、後で…」
片づけが、終わると…会社へ戻るように言われ…
会社に、帰ると…社長が、俺たちの部署に訪れ…
「皆、集まれ…」と、ジニ先輩の声で…席に…
「今日は、ご苦労さん。まぁ~、皆も薄々知っているだろうけど…部長は、1人で死んだんじゃない」
「… 」
「人の口には戸は立てられないけど、客に聞かれても言わないように…夫婦には、夫婦にしか解らない事がある」
「… 」
「頼むぞ」と、言うと…部屋を出て行った。
俺たちは、重い空気の中で言葉も交わす事無く…時を、過ごした。
6時を、過ぎた頃…
「ユチョン、行こうか?」
「…ぁ…はい…」と、俺は後をついて歩いた。
小さな店に、入って行った。
酒と串を頼み…
「ユチョン、…部長が死んで…どう?」
「… 」
「変な意味ではなく…嬉しいか?」
「…そん…な…」
「そうだな。…喜べない死に方やもんな」
「通夜の日に…」
「人が、言ってたか?」
「はい」
「興味、湧くもんな」
「奥さん…気丈でしたね」
「… 」
「どうして、死を選んだんでしょうね。強い人だと思っていたのに…」
「そうだな、ユチョンにはきつかったからな」
「…奥さん、泣いてなかったですね」
「―――そうだな…」
「2にんは、…社内恋愛の末に、結婚したと聞いてますけど…」
「――うん――」
「ジニ先輩は、その時を知ってるんですか?」
「俺が、入社し立ての頃かな。…丁度、恋愛関係にあったよ」
「… 」
「その末、結婚した。それから、順風満帆だったと聞いている」
「それが、どうして…」
「ユチョン、雨の日の営業は辛いよな。…何処へ行く?…」
「ぇ…」
「プラネタリウム…か?」
「ぁ…はい…」
「皆、初めは其処に逃げ込む。…部長も、そうだったようだが、其処も飽きて…ふと、駅裏の路地に入ったらしい。其処には、小さな薄明かりの目立たなさそうな…喫茶店があった。部長は、思わず入ってらしい。…客は、誰も居らず…部長は、其処で3時間いたらしい」
「… 」
「其処のママさんも、帰るまでコ-ヒ―1杯で居た事を、嫌な顔1つせず…」
「… 」
「部長は、これを機会に度々寄るようになったんだ。だけど、部長に昇進してからその店には行く事は無くなったんだ。いや、忘れていたのかもしれない」
「その…店って…一緒に亡くなった…」
「そうだ」
「忘れてたのに…」
其処には、俺の知らない部長が…いた。
つづく

