ほめてやれなかった・笑えなかった退院 | 強いぞ!ゆいちゃんマン~未分化肉腫との戦い~

強いぞ!ゆいちゃんマン~未分化肉腫との戦い~

2010年2月、生後8か月のとき、未分化肉腫という聞いたこともない病気が発覚し,1才6か月で天国へ旅立ってしまった娘の入院生活を振り返ってブログを書いています。

2010年11月18日(木)がきた。

今日退院する。

2月14日に入院してから9か月ちょっとが過ぎた・・・

長かったような、短かったような、訳の分からない9か月だった。

1才5か月のゆいにとっては、この9か月はすごく大きい。

生まれて半分以上、病院にいたことになる。

なのに、この入院生活は意味のあるものだったんだろうか・・・

どうしても、悔しさばかり。





荷物まとめも、はかどってなかった。

今日までにちょこちょこ荷物を持って帰ってもらってたが、まだまだ

残ってる。

部屋では、ずっとゆいを抱っこしてるのでなかなか荷物をまとめることができない。





ゆいはこの時1時間おきに目を覚ましてた。

朝5時に寝たので、それから片付け開始。

その前に・・・なんか目が開かない。

寝不足だからかな~って鏡見て・・・ゲッ!!

自分の顔にびっくりした。

ものもらいになってた。

チっなんで、今日こんなのになるんよー

目ヤニだらけで腫れ上がってる!ハァ・・・

ゆいにうつったら大変だ。




私は、小さい頃からものもらいによくなる。

ものもらいじゃなくて、「めぼ」って言ってたけど。

目がなりやすい形なのか、コンタクトだからか、多分汚い手で目をつついてるんだろうな。(笑)

だから、常に目薬は持っていた。

入院中は全くならなかったのに・・・よりによって今日。

早速点眼。

片目では作業ははかどらない。

そうこうしてたら、ゆい起床。






ゆいは朝から機嫌が超悪い!

私から離れようとしない。ばい菌ちゃーちゃんなのに・・・

売店が開くのを待って、すぐさま眼帯を買いに行った。

いつもはこんなんしないけど、ゆいにうつらないように。

ゆいは、不思議そうに私の顔見てた。

「何!それ!変なの!」って。(笑)







主治医T先生の朝の回診。

呼吸音もOK。

お尻の腫瘍は大きくなってる・・・


微熱が続いてる。(37.5~38.0)

CRPも高い。

これは腫瘍のせいで仕方がないそうだ。



次の外来は11/22(月)午後になってること。

それまでに、変わったことがあればすぐに受診してくださいとのこと!





あっさりさっぱりした、いつもと変わらない最後の回診だった。

変わったことがあればすぐに受診してくださいか・・・

これだけ聞けば、とても末期患者の退院には思えないな・・・

もちろん先生は当たり前なことを言ってると思う。

でも、なんかこんなものか・・・って思った。

何かない限り病院には用はない・・・来れない・・・


かと言って、他に言うこともないんだろうけど・・・

何かあれば、病院に行く。これしかない。






父ちゃんがやってきた。

荷物をどんどん車に運んでもらうが、カートで何回往復したことか。

ゆいは今までにないくらい不機嫌。

ベビーカーで散歩もいやいや。

様子が変だ・・・

看護師さんや、看護助手さん、掃除のおばちゃんにあいさつして回る。

ゆいは私が抱っこしてるのに号泣・・・

ナースステーション前で、恒例?の写真撮影。

先生・看護師さんたちが書いてくれたアンパンマンの寄せ書きをもらった。

ゆいはみんなに囲まれて大号泣。

私も旦那もうれしくはないので笑えなかった・・・






研修医N先生は、私たちの様子をずっと気にしてくれてた。

ナースステーションの前を通るたび、家に帰るのかと廊下まででてきてくれた。

ほんとにいい先生だ。





担当看護師Hさんも、今日は休みだったのにわざわざ来てくれた。

「ゆいちゃん、頑張ったね。」って手紙とプレゼントをくれた。

Hさんにはすごく感謝してる。

毎日会えなくなるのはさみしい。

もうお世話になりたくないけど・・・

きっとまたお世話になるはず・・・





毎日病室をのぞいてくれた看護師Mさんも、手紙とアンパンマンの

メロディーブックをくれた。

看護師さんから物をいただいていいのだろうか・・・普通逆だよね?(笑)



本当にゆいはみんなによくしてもらった。かわいがってもらった。

そして私は、むずかしい親だったと思う。

治療がうまくいっての退院だったらどんなによかったか、どんなに笑えたか・・・







荷物運びに手間取り、結局昼前に病院を後にした。


「ありがとうございました・・・」


これだけしか言えなかった。





ゆいは泣き疲れてグッタリだった。

私は、一番大事なことを忘れてた。

ゆいをほめてやること。

確かに入院生活の結果はよくない。

でも、ゆいはすごくすごく頑張った。

私には、想像もできないくらいつらいことにいっぱい耐えた。

やりたいこといっぱい我慢してきた。

食べたい物も食べれなくなった。

まだ1才なのに、常に周りに気を使ってるようだった。

行動範囲も、ほとんどがベッドの上。

そんな中で、私たちに笑顔を見せてくれた。いろんなことができるようになった。

バイバイできたり、パチパチできたり、指さしできたり、自分の名前が

分かって手を上げれるようにもなった。

少しの時間なら1人で遊べるようにもなった。

顔だって、赤ちゃんからおねえちゃんになった。

アンパンマンのキャラだって、いっぱいいっぱい知ってる。

お座りだって、ハイハイだって、伝い歩きだって、階段のぼりだって

できるようになった。

これって、本当に本当にすごいこと!

家にいる時と変わらないであろう成長を見せてくれた。心も体も。




結果が悪いのは、ゆいのせいではない。

なのに、私は結果ばかり見て、ゆいをほめることを忘れてた。