最悪なバレンタインデー | 強いぞ!ゆいちゃんマン~未分化肉腫との戦い~

強いぞ!ゆいちゃんマン~未分化肉腫との戦い~

2010年2月、生後8か月のとき、未分化肉腫という聞いたこともない病気が発覚し,1才6か月で天国へ旅立ってしまった娘の入院生活を振り返ってブログを書いています。

病院に行く途中、私の実家に寄ってばあちゃん(私の母)にお尻を見てもらった。ばあちゃんも私と同じ意見だった。



大泣きのゆいとなんとか病院に着いた。小児科の患者は誰もいなかった。



診察室に入り、昨日のことを一気にしゃべった。お尻を見るなり 先生が言った。



「お母さん、これは入院しないといけないよ。感染してる。股関節炎を一番疑うな~」



股関節炎はこのくらいの年齢の子がよくなる病気。はやく処置しないと歩行障害とかが出る場合もあると説明を受け、とりあえず本当に股関節炎なのかCTをとることになった。ゆいはもちろん 初めてのCTだ。眠らす薬を飲んだけどなかなか寝ない。結局   2時間くらいかかってやっととれた。



そのあと病棟に案内された。私は部屋着のジャージ姿にノーメークに髪ぼさぼさ。ゆいもCTなどで服脱がされきちんと着ぬまま。はたから見れば何、この親子!ですよ。



股関節炎と聞いて少し安心していた。病棟内の説明などを受け 病室で待っていたら、整形外科医がやってきた。



「CTをとった結果、股関節炎ではない可能性が高い、何か白いものがうつっている、股関節炎を否定するために股関節に針をさして膿がひけるかどうか検査してみますか?」




頭が真っ白になった。股関節炎じゃない??じゃあ何?




私はその先生に質問しまくった。



「白いものって何が考えられるんですか?」



「例えば腫瘍とか。。。。」



「腫瘍って悪いものですか?」



「悪いものもありますが。。。」




今から思えば、この時先生はだいたい予想はついていたと思う。この白いものが何かということを。




それでも股関節炎を完全に否定するため、レントゲン透視下で 股関節穿刺をすることになった。私は心のなかで股関節炎であってくれと願っていた。




レントゲン室に降りた。日曜日ということもあり、人影もなく寒々していた。




研修医と私がゆいをおさえつけて、整形の先生が太い針を、ゆいの左股関節に刺した。麻酔なしで。その針に注射器をひっつけてひいた。何度もひいたがなにもひけなかった。涙がでそうになった。これで証明された。股関節炎ではないと。



病室に戻ると、救急でみてくれた小児科の先生がやってきた。



「股関節炎ではないみたい。少し詳しい検査がいるね」



なんか顔がやけに神妙だった。私は確信した。悪いものなんだと。



この日は2月14日バレンタインデーだった。一生忘れることのできない最悪のバレンタインデーになった。