アルからの連絡を切った瞬間、コロニー内に警報が鳴り響く
『これね!』
母親はここに居ることが危険である事を理解した
サラは立ち上がり
「すいません!戻ります!」
お辞儀をして走り出そうとする
「お待ちなさい!」
母親は慌ててサラの手を取り
「今、戻るのは危険でしょう!近くにシェルターが有るから付いてきなさい!」
母親はサラの手をひきシェルターへと向かう
「でも!」
サラは母親の手を振りほどき立ち止まる
「船には連絡しておくから今は身の安全を考えなさい!」
母親は降り払われた手を取り改めて避難を始めた
『クリスちゃんには繋がらないわね…港に言伝てしてもらおう…』
母親はモバイルを取り出して電話をかけた、すると港からモビルスーツが飛び出して行くのが見えた
『コロニーの中で戦闘するの?!』
モビルスーツの行く先を見ると彼方に二機のモビルスーツが近づいていた
車を走らせる父親は頭上を二機のモビルスーツが追い越して行くのを見つけた
『そんな!中での戦闘なら町にいても危険じゃないか!』
妻が出掛けるのを許した事を今更ながらに後悔する
「父さん!ジオンのザクだ!知ってたの?!」
アルは通り過ぎた機影を見やり叫んだ、しかし不思議と以前の様な危険な予感がしない…殺気が無いのだ、
「話しは後だ!お前は近くのシェルターで下ろすから避難しなさい!」
アルの問いには答えず標識を見やり車を走らせる、町に近づくにつれ人の群れがシェルターへと殺到しているのが分かる、車の中にいても外の怒鳴り声が聞こえるパニックになっているようだ
『ここのシェルターは…駄目か!』
父親は港に向かいながらも迂回し他のシェルターに向かう
「父さん!今は母さんの所に急ごう!間に合わないよ!」
アルの言葉に父親は少し冷静を取り戻す
『アルを置いていく暇は…無いか!くそ!』
「分かった!すまん!このまま港に向かう!母さんと電話を繋いでおけ!」
そう言って真っ直ぐ港に向かう、港の有る方向を見ると一筋の閃光が見えた
『始まった!』
父親は人混みを避ける様に空いた道を探し車の速度を上げた
「うぉぉぁああ——!」
ヒルデは雄叫びを上げてヒートホークを振りかざす
「聞け!ヒルデ!無理をするな!」
フレアは怒鳴り声を上げるがヒルデはまるで言うことを聞かない
『此ではフラウと一緒じゃないか!』
相手のモビルスーツを見たとたんヒルデは我を失った様に見えた、フレアは相手の姿を見た瞬間、背筋が凍るのを感じた、先日に戦った擬きとは違う…本物のガンダムが目の前にいたのだ、しかもかなりの実力を持っている様だ
『コイツは…手強い!ザクでは分が悪い!』
しかし不思議と前回の様な恐怖は感じない…常識の範疇にある強さだ
「ヒルデ!言うことを聞け!ここは引くぞ!」
フレアは必死にヒルデに叫ぶ、
「コイツなんだ!間違い無い!エリクを殺ったのはコイツだ—!」
ヒルデは叫びながらガンダムに斬りかかる
『何か…因縁が有るのか…面倒な!』
フレアは無理矢理ヒルデとガンダムの間に入りヒルデを後退させる、相手のガンダムは深く斬り込んでは来なかった、退かせる積もりなのだろう、コロニーに被害が無い様に立ち振舞っていた
「フレア!邪魔をするな!殺すぞ!」
ヒルデの叫びにフレアは怒鳴り声を上げた
「今の貴様に誰が殺られるか!頭を冷やせ!」
フレアの声にヒルデは少し冷静を取り戻す
「ぐっ…す…すまない…」
ヒルデの返事で引き際を見たフレアはヒルデを押し戻す様に後退をしようとした
『ちっ!厄介な奴がいる!ガンダムを相手にザクでは無理か!』
フレアは舌打ちをしてヒルデに話し掛け様とした瞬間、ガンダムと出てきたモビルスーツが信じられない角度でビームライフルを放ってきた
「なっ?!」
威嚇の積もりなのか閃光は二人のザクを大きくそれてコロニーの壁面へと放たれた
「この!ど素人が!」
フレアは閃光の行く先を見やる、どう見ても人のいそうな場所だった
「退いてくれるか…」
ユーグは相手の様子を見てホッと胸を撫で下ろす、大概の相手は小さな戦闘ならガンダムの姿を見ると退いてくれた、陸戦型の量産タイプと違い宇宙戦使用のガンダムは殆どがエースパイロットの搭乗が多く数が少ない、その為相手は此方の実力を見た目で判断して退く事が多い、自分を高く評価する積もりは無いが無用な戦闘を回避出来るのは有り難かった
「テルコット!相手との距離に気をつけろ!相手が退くならそのまま退いて貰う!」
ユーグはテルコットに指示を出す、しかし返事が無い…替わりに荒い息遣いが聞こえてきた
「テルコット?」
呼びかけた瞬間テルコットの操るネモから閃光が放たれた
「テルコット?!」
閃光の先を見やりユーグは舌打ちする
「何て事を!」
ユーグは相手の出方に注意したが一機は踵を返して退いたがもう一機はテルコットの撃った地区へと向かっていた
『何をするきだ?』
「テルコット!お前は退け!」
そう指示を出してコロニーの壁面に向かったザクを追った
「しっかり!意識を失わないで!お母さん!」
サラの叫びに母親は場違いなツッコミをいれる
「か…勘違いしないでって…言ったでしょ?…大体プロポーズもまだでしょ…」
そう言って腰を擦りながら起き上がる、爆発の音で耳が遠くなっているが擦り傷程度で済んだようだ、しかし少し離れた先に黒い穴が口を開けていた
『危ない…逃げなきゃ…』
朦朧としつつも目の前に空いた穴が危険である事を察知する、コロニーの外壁は一枚では無い、それでも一部に致命的なダメージを受けるとそこから圧力の力に負けて宇宙へと更に穴が空いてしまう、この場から早く離れなければ宇宙へと吸い出されてしまう、しかし母親は旨く立ち上がれない…
「ここから…早く離れなさい…ビルの中なら…大丈夫だから…」
母親はサラを押しやり近くの建物を指差す
「分かりましたから!早く!一緒に!」
サラは母親の手を引くが今度は母親がその手を振りほどき
「無理…腰が抜けて…立ち上がれない…私は良いから…早く行って…」
力無く話すと母親はその場にうずくまる、どうやら腰が抜けただけでは無いようだ、爆発の瞬間、庇う様に自分を抱き締めた母親を見捨てる事などサラには出来るはずが無かった、母親に肩を貸し何とか移動しようと穴に背を向ける、
ベコッ
背後から不吉な音が鳴り響く、瞬間、辺りに轟音が鳴り響きあらゆる物を吸い込み始めた
「お母さん!しっかり!」
サラは出来るだけ背を低くして地べたを這いずる様に母親を引っ張ろうとした…が少しずつ二人は穴へと引っ張られる
「間に合うか?!」
フレアは空いた穴の近くに人が居ることをいち早く発見していた
『こんな下らぬ理由で人が死ぬなど御免だ!』
ヒルデに帰還の指示を出して自分は直ぐに空いた穴へと反射的に動いていた、攻め込んだコロニーの住人を助けるなど一瞬、矛盾を感じながらも自分の行動を抑える事が出来なかった
「踏ん張れよ!」
フレアは二つの人影に叫びながら全てのダミーバルーンを打ち出した
『もう…駄目…死んじゃうんだ…私…』
サラは自分の指先を見つめた、
『こんな事になるなら怪力が出せる様にお願いするんだったな…』
見た目と裏腹にひ弱な腕を見て後悔した、穴に近づくにつれ引っ張られるスピードはどんどん上がって行くのが分かる
「ごめんなさい」
母親を見て呟くと目を閉じた、二人の体が少し宙に浮くと引っ張られる勢いは更に加速する、しかし急に失速して地面に落ちる
「ぶっ?!つっ!イタタタッ!」
サラは何が起きたのか分からず背後を見る、直ぐ足元に穴は迫っていたが大量のビニールの様な物が穴を塞いでいた、すると頭上から別の轟音が鳴り響き少し離れた場所に一機のモビルスーツが降り立つ、サラはギョッとする
『ジオンだ!不味いな…』
でも母親を置いて逃げる訳にも行かない
「そこの民間人!直ぐに離れろ!バルーンでは持たん!」
フレアは外部スピーカーで叫ぶ、しかし二人の人物は動けない様だ、一人の少女が動けない婦人を助けようとしているようだが…
『この女!サラ…サラ・ワイズマンか!』
フレアはアップにしたモニターを見て歓喜した、が背後に迫るガンダムを確認して舌打ちをする
『今は…無理か!こんなチャンスを…』
しかし…フレアの気持ちをガンダムは裏切ってくれた、停戦の信号を出しながら全周波の無線で話し掛けてくる
「私のモビルスーツはトリモチを装備している、穴を塞ぐから民間人をビルの影まで移動させてくれないか?その後、退いてくれれば、此方は後を追うような事はしない、そちらの紳士的な行動を期待するが…良いか?」
ガンダムの通信に更に歓喜する
「理解した!そちらに従おう!」
フレアは返事を返すとザクの膝をつかせてその手のひらをサラの元に広げると
「乗れ、サラ・ワイズマン、その婦人は助けてやる、大人しく言うことを聞け」
コックピットのハッチを開きガンダムに聞こえない様に話し掛けた、サラは諦めた様に力無く頷き母親を担ぎ手のひらに乗ろうとした、すると母親はサラの手を取り動きを止める
「フレア…ちゃん?」
母親の言葉にフレアは母親の顔を凝視する
「クレア…叔母さん?!」
フレアの時間が止まる、不意に両者の間を割って入る一台の車に我を取り戻すが…
「クレア!無事か?!」
降りてきた人物を見てまた唖然としてしまう
「イームズ叔父さん…?!」
アルは母親とサラの元に向かうが父親はザクのパイロットに釘付けになる
「フレア…フレアなのか?!」
父親の言葉にフレアは憎悪を籠めて叫ぶ
「貴様は!こんな所でのうのうと!」
背後のガンダムを見やり、この場は退く事を決意する
「イームズ!お前の行いを決して忘れないぞ!祖母の恨み忘れるな!」
そう吐き捨てるとその場を離れ飛び去って行った、ユーグは呆然としてザクの動きを見送った
『何をしに来たんだ…アイツは?!』
一連の攻撃に意味を見いだせないユーグは困惑した、足元を見ると後から来た少年が負傷したであろう婦人を介抱している所だった…もう一人の男は去って行ったザクを見ていた…
『何か…有るのか?…』
ユーグは今回の作戦に不安を覚えた…
不気味な笑いが小さな部屋に木霊する、
「面白いな…予言など信じる積もりは無いが…ララァ…お前の血は…本当に面白い…実現させてやろう…お前の悪夢を…お前と同じ血がこの世を破滅させるのだ…」
ゲインは抑える事の出来ない歓喜に笑いを止める事が出来ない…傍らで仮面の少女はその下で悲しげな目をしていた
続きます
『これね!』
母親はここに居ることが危険である事を理解した
サラは立ち上がり
「すいません!戻ります!」
お辞儀をして走り出そうとする
「お待ちなさい!」
母親は慌ててサラの手を取り
「今、戻るのは危険でしょう!近くにシェルターが有るから付いてきなさい!」
母親はサラの手をひきシェルターへと向かう
「でも!」
サラは母親の手を振りほどき立ち止まる
「船には連絡しておくから今は身の安全を考えなさい!」
母親は降り払われた手を取り改めて避難を始めた
『クリスちゃんには繋がらないわね…港に言伝てしてもらおう…』
母親はモバイルを取り出して電話をかけた、すると港からモビルスーツが飛び出して行くのが見えた
『コロニーの中で戦闘するの?!』
モビルスーツの行く先を見ると彼方に二機のモビルスーツが近づいていた
車を走らせる父親は頭上を二機のモビルスーツが追い越して行くのを見つけた
『そんな!中での戦闘なら町にいても危険じゃないか!』
妻が出掛けるのを許した事を今更ながらに後悔する
「父さん!ジオンのザクだ!知ってたの?!」
アルは通り過ぎた機影を見やり叫んだ、しかし不思議と以前の様な危険な予感がしない…殺気が無いのだ、
「話しは後だ!お前は近くのシェルターで下ろすから避難しなさい!」
アルの問いには答えず標識を見やり車を走らせる、町に近づくにつれ人の群れがシェルターへと殺到しているのが分かる、車の中にいても外の怒鳴り声が聞こえるパニックになっているようだ
『ここのシェルターは…駄目か!』
父親は港に向かいながらも迂回し他のシェルターに向かう
「父さん!今は母さんの所に急ごう!間に合わないよ!」
アルの言葉に父親は少し冷静を取り戻す
『アルを置いていく暇は…無いか!くそ!』
「分かった!すまん!このまま港に向かう!母さんと電話を繋いでおけ!」
そう言って真っ直ぐ港に向かう、港の有る方向を見ると一筋の閃光が見えた
『始まった!』
父親は人混みを避ける様に空いた道を探し車の速度を上げた
「うぉぉぁああ——!」
ヒルデは雄叫びを上げてヒートホークを振りかざす
「聞け!ヒルデ!無理をするな!」
フレアは怒鳴り声を上げるがヒルデはまるで言うことを聞かない
『此ではフラウと一緒じゃないか!』
相手のモビルスーツを見たとたんヒルデは我を失った様に見えた、フレアは相手の姿を見た瞬間、背筋が凍るのを感じた、先日に戦った擬きとは違う…本物のガンダムが目の前にいたのだ、しかもかなりの実力を持っている様だ
『コイツは…手強い!ザクでは分が悪い!』
しかし不思議と前回の様な恐怖は感じない…常識の範疇にある強さだ
「ヒルデ!言うことを聞け!ここは引くぞ!」
フレアは必死にヒルデに叫ぶ、
「コイツなんだ!間違い無い!エリクを殺ったのはコイツだ—!」
ヒルデは叫びながらガンダムに斬りかかる
『何か…因縁が有るのか…面倒な!』
フレアは無理矢理ヒルデとガンダムの間に入りヒルデを後退させる、相手のガンダムは深く斬り込んでは来なかった、退かせる積もりなのだろう、コロニーに被害が無い様に立ち振舞っていた
「フレア!邪魔をするな!殺すぞ!」
ヒルデの叫びにフレアは怒鳴り声を上げた
「今の貴様に誰が殺られるか!頭を冷やせ!」
フレアの声にヒルデは少し冷静を取り戻す
「ぐっ…す…すまない…」
ヒルデの返事で引き際を見たフレアはヒルデを押し戻す様に後退をしようとした
『ちっ!厄介な奴がいる!ガンダムを相手にザクでは無理か!』
フレアは舌打ちをしてヒルデに話し掛け様とした瞬間、ガンダムと出てきたモビルスーツが信じられない角度でビームライフルを放ってきた
「なっ?!」
威嚇の積もりなのか閃光は二人のザクを大きくそれてコロニーの壁面へと放たれた
「この!ど素人が!」
フレアは閃光の行く先を見やる、どう見ても人のいそうな場所だった
「退いてくれるか…」
ユーグは相手の様子を見てホッと胸を撫で下ろす、大概の相手は小さな戦闘ならガンダムの姿を見ると退いてくれた、陸戦型の量産タイプと違い宇宙戦使用のガンダムは殆どがエースパイロットの搭乗が多く数が少ない、その為相手は此方の実力を見た目で判断して退く事が多い、自分を高く評価する積もりは無いが無用な戦闘を回避出来るのは有り難かった
「テルコット!相手との距離に気をつけろ!相手が退くならそのまま退いて貰う!」
ユーグはテルコットに指示を出す、しかし返事が無い…替わりに荒い息遣いが聞こえてきた
「テルコット?」
呼びかけた瞬間テルコットの操るネモから閃光が放たれた
「テルコット?!」
閃光の先を見やりユーグは舌打ちする
「何て事を!」
ユーグは相手の出方に注意したが一機は踵を返して退いたがもう一機はテルコットの撃った地区へと向かっていた
『何をするきだ?』
「テルコット!お前は退け!」
そう指示を出してコロニーの壁面に向かったザクを追った
「しっかり!意識を失わないで!お母さん!」
サラの叫びに母親は場違いなツッコミをいれる
「か…勘違いしないでって…言ったでしょ?…大体プロポーズもまだでしょ…」
そう言って腰を擦りながら起き上がる、爆発の音で耳が遠くなっているが擦り傷程度で済んだようだ、しかし少し離れた先に黒い穴が口を開けていた
『危ない…逃げなきゃ…』
朦朧としつつも目の前に空いた穴が危険である事を察知する、コロニーの外壁は一枚では無い、それでも一部に致命的なダメージを受けるとそこから圧力の力に負けて宇宙へと更に穴が空いてしまう、この場から早く離れなければ宇宙へと吸い出されてしまう、しかし母親は旨く立ち上がれない…
「ここから…早く離れなさい…ビルの中なら…大丈夫だから…」
母親はサラを押しやり近くの建物を指差す
「分かりましたから!早く!一緒に!」
サラは母親の手を引くが今度は母親がその手を振りほどき
「無理…腰が抜けて…立ち上がれない…私は良いから…早く行って…」
力無く話すと母親はその場にうずくまる、どうやら腰が抜けただけでは無いようだ、爆発の瞬間、庇う様に自分を抱き締めた母親を見捨てる事などサラには出来るはずが無かった、母親に肩を貸し何とか移動しようと穴に背を向ける、
ベコッ
背後から不吉な音が鳴り響く、瞬間、辺りに轟音が鳴り響きあらゆる物を吸い込み始めた
「お母さん!しっかり!」
サラは出来るだけ背を低くして地べたを這いずる様に母親を引っ張ろうとした…が少しずつ二人は穴へと引っ張られる
「間に合うか?!」
フレアは空いた穴の近くに人が居ることをいち早く発見していた
『こんな下らぬ理由で人が死ぬなど御免だ!』
ヒルデに帰還の指示を出して自分は直ぐに空いた穴へと反射的に動いていた、攻め込んだコロニーの住人を助けるなど一瞬、矛盾を感じながらも自分の行動を抑える事が出来なかった
「踏ん張れよ!」
フレアは二つの人影に叫びながら全てのダミーバルーンを打ち出した
『もう…駄目…死んじゃうんだ…私…』
サラは自分の指先を見つめた、
『こんな事になるなら怪力が出せる様にお願いするんだったな…』
見た目と裏腹にひ弱な腕を見て後悔した、穴に近づくにつれ引っ張られるスピードはどんどん上がって行くのが分かる
「ごめんなさい」
母親を見て呟くと目を閉じた、二人の体が少し宙に浮くと引っ張られる勢いは更に加速する、しかし急に失速して地面に落ちる
「ぶっ?!つっ!イタタタッ!」
サラは何が起きたのか分からず背後を見る、直ぐ足元に穴は迫っていたが大量のビニールの様な物が穴を塞いでいた、すると頭上から別の轟音が鳴り響き少し離れた場所に一機のモビルスーツが降り立つ、サラはギョッとする
『ジオンだ!不味いな…』
でも母親を置いて逃げる訳にも行かない
「そこの民間人!直ぐに離れろ!バルーンでは持たん!」
フレアは外部スピーカーで叫ぶ、しかし二人の人物は動けない様だ、一人の少女が動けない婦人を助けようとしているようだが…
『この女!サラ…サラ・ワイズマンか!』
フレアはアップにしたモニターを見て歓喜した、が背後に迫るガンダムを確認して舌打ちをする
『今は…無理か!こんなチャンスを…』
しかし…フレアの気持ちをガンダムは裏切ってくれた、停戦の信号を出しながら全周波の無線で話し掛けてくる
「私のモビルスーツはトリモチを装備している、穴を塞ぐから民間人をビルの影まで移動させてくれないか?その後、退いてくれれば、此方は後を追うような事はしない、そちらの紳士的な行動を期待するが…良いか?」
ガンダムの通信に更に歓喜する
「理解した!そちらに従おう!」
フレアは返事を返すとザクの膝をつかせてその手のひらをサラの元に広げると
「乗れ、サラ・ワイズマン、その婦人は助けてやる、大人しく言うことを聞け」
コックピットのハッチを開きガンダムに聞こえない様に話し掛けた、サラは諦めた様に力無く頷き母親を担ぎ手のひらに乗ろうとした、すると母親はサラの手を取り動きを止める
「フレア…ちゃん?」
母親の言葉にフレアは母親の顔を凝視する
「クレア…叔母さん?!」
フレアの時間が止まる、不意に両者の間を割って入る一台の車に我を取り戻すが…
「クレア!無事か?!」
降りてきた人物を見てまた唖然としてしまう
「イームズ叔父さん…?!」
アルは母親とサラの元に向かうが父親はザクのパイロットに釘付けになる
「フレア…フレアなのか?!」
父親の言葉にフレアは憎悪を籠めて叫ぶ
「貴様は!こんな所でのうのうと!」
背後のガンダムを見やり、この場は退く事を決意する
「イームズ!お前の行いを決して忘れないぞ!祖母の恨み忘れるな!」
そう吐き捨てるとその場を離れ飛び去って行った、ユーグは呆然としてザクの動きを見送った
『何をしに来たんだ…アイツは?!』
一連の攻撃に意味を見いだせないユーグは困惑した、足元を見ると後から来た少年が負傷したであろう婦人を介抱している所だった…もう一人の男は去って行ったザクを見ていた…
『何か…有るのか?…』
ユーグは今回の作戦に不安を覚えた…
不気味な笑いが小さな部屋に木霊する、
「面白いな…予言など信じる積もりは無いが…ララァ…お前の血は…本当に面白い…実現させてやろう…お前の悪夢を…お前と同じ血がこの世を破滅させるのだ…」
ゲインは抑える事の出来ない歓喜に笑いを止める事が出来ない…傍らで仮面の少女はその下で悲しげな目をしていた
続きます