これは、26歳にして「ある物」を人生で初めて

使うことになる一人の男の物語。


休日のある朝、俺は太陽の光と共に目を覚ます。

微睡の中で、閉じかけている目を必死に擦りながら、戦いの前にある儀式をするべく家を飛び出した。


玄関の扉をこじ開け、目的地へと向かう。

約5分歩き、ようやく見慣れた牛乳瓶の青い看板が顔を覗かせる。

「いらっしゃいませー!」

いつも元気で明るい店員さん。


そんな店員さんに俺は囁く。

「すみません、アイスコーヒーのLサイズを下さい。」

最早、こちらの注文など見透かしていたかの様に店員さんは手慣れた動作で作業にうつる。

そして、コーヒーを受け取り、強制的に脳みそを覚醒させる。


ローソンを出た俺は、希望を胸に戦地へと向かう。

汗水を垂らしながら、命を削り稼いできたなけなしの給料を震える手で握り込む。。


そして、運命とダンスを踊るために鉄の扉を押し開けた。

ここからが勝負だ。


「この世は弱肉強食だ。」

店を出た帰り道、俺は誰に届けるわけでもなくそんなひと言を呟く。

たったの4時間だ。

4時間で俺の1ヶ月が無に帰る。

「この世はなんて無慈悲で冷酷なんだ。」


帰宅し、愛用しているソファへと腰を預け、これまでの知識を総動員させ、一ヶ月の計画を練り上げる。だが、何度計算しても計算が合わない。

事態は深刻なまでに単純で残酷だ。

お金が足らない。


俺は混乱して部屋を歩き回る。

右から左、左から右、ひたすら縦横無尽に歩き回った。

その瞬間、声が聞こえた気がした。

当然、部屋には俺以外誰もいない、

俺はハッと顔を上げる。

身長140㎝前後の鉄の塊と視線が絡み合う。


「俺はお前を使えるのか?」

26年間コインランドリーで洗濯してきた俺が、

部屋の隅で一際存在感を放っているこいつを使う?


当然、躊躇いはあるが背に腹は変えられない。

やるしか選択肢は残されていない。



洗濯機サイコー!!