[東京 27日 ロイター] 見た目は車輪の付いた洗濯機。都内の高層ビルの廊下を掃除するこの装置、実はロボットだ。高齢化が進む日本にとって、労働人口の減少にどう対応するかが緊急の課題となっている。その解決策として、研究者はこうしたロボットに期待を寄せている。
富士重工業<7270.T>が開発したこの掃除ロボットは、すでに国内のビルやマンションなど13棟で使用されている。掃除ロボットが稼動するのは、オフィスが無人になる夜間。フロア間の移動にはエレベーターを使い、エレベーターから「清掃運転中です。乗車できません」というメッセージが流れると、ロボットが乗り込む。
世界で稼動中の産業用ロボットのうち、日本は4割を占めるロボット大国。だが、家庭やオフィスなど工場以外で使用できるものはまだ少ない。日本の人口は2055年までに65歳以上が4割を占めると予測されており、研究者は高齢者の生活を支援する賢いロボットの開発を急いでいる。「少子高齢化によって(ロボットに)少し助けてもらう状況にならざるを得ない」と東京大学情報理工学系研究科の下山勲教授は言う。
下山教授をはじめとした東大の研究グループは、トヨタ自動車<7203.T>や富士通研究所、三菱重工業<7011.T>など7社と共同で、15年後の新世代ロボットにつながる技術を開発している。いずれロボットは脱ぎ捨てられた衣類を拾って洗濯機に入れたり、乾かした服をたたむなど、家事を手伝うようになるかもしれない、と下山教授は言う。開発中のロボットは、1年半後に試作版がお目見えする予定だ。
こうしたロボットはヒト型である必要はないが、ヒト型のほうが便利な部分もあると、下山教授は指摘する。家というものが、ヒト形のものが動きやすい構造になっているからだという。
しかし、ロボットが家庭に入り込むまでには、もう少し時間がかかりそうだ。「頭が良さそうに見えて、まだまだおバカだと思う」と下山教授は言う。「人間のように利口になることは決してないだろう」。
ロボットには安全はもちろんのこと、人々のニーズを察知する能力も求められる。ショッピングセンターなどで案内や巡回を支援するロボット「enon(エノン)」を開発した富士通フロンテック<6945.T>と富士通研究所は、この課題に取り組んでいる。
上半身がヒト型をしたエノンは胸部にタッチスクリーンを搭載し、腹部には重さ10キロまでの物を載せられるスペースがある。案内・誘導モードにすると来訪者を見つけて近づき、あいさつをする。来訪者がスクリーン上の目的地をタッチすると、行き方を示した地図が映し出される。そしてエノンは移動して目的地まで来訪者を誘導する。
エノンは現在、さいたま市のショッピングセンターなど国内5カ所で利用されている。ゴールの1つは、高齢者にもっと役立つロボットにすることだという。「駅でお年寄りが途方にくれているのを見つけて声をかけられるようになりませんか、と交通関係の人からよく聞かれる」と、富士通研究所の森田俊彦・自律システム研究部長は言う。「難しい。ものすごく難しい」──。
(ロイター日本語ニュース 執筆:北野 将之 翻訳:久保 信博)
最終更新:9月27日10時50分 ロイター
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人間よりもまじめにやりつづけるロボット、この先増えてくるのかもしれないですね。これである程度柔軟になったら、人間の仕事がなくなってしまう時代がくるのだろうか・・まだ、そこまでいくには相当な時間がかかりそうですが。