しかし、年間4000～7000ドル（33万8000～59万1000円）という比較的少ない投資をし、独創性、それに冒険心があれば、たまの利用客もトップクラスのステータスを獲得し、これを国際線で数千ドルの価値のあるビジネスクラスへのアップグレードに使い、さらにボーナスマイル、空港ラウンジの利用、国内線でのファーストクラスへのアップグレード、ティファニーのギフトカードももらえるかもしれないのだ。
ステータスは報われる。ステータスを買うことはすぐに元を取ることができる。マイレージプログラムの最高サービスを受ける客は、割のいい特典の他に、年に何回かの国際線アップグレードが無料で可能になる。1200ドルの欧州あるいはアジア便の往復チケットを毎回、7000ドル相当のビジネスクラスに換えることができる。
シリコンバレーの会社の元幹部で、ユナイテッド航空の「プレミア1K」ステータスを獲得するために年に5、6回長距離旅行をするジョー・ネビンさんは「エリート・ステータスには非常に大きな価値があると思う。それは生活をさらに楽にする」と話した。5000～6000ドル、プラスさまざまな場所への飛行時間の投資の見返りで、ネビンさん夫妻は1年間の無料チケットと無料アップグレードを得ている。彼は「一部の人たちがこうしたことを優先させないのには驚くばかりだ」と話した。
USエアウェイズ・グループは、そのマイレージプログラムの中で「チェアマン・プリファード」ステータスを搭乗なしで3999ドルで販売している。これよりもレベルが低いステータスは価格も安い。「バイ・アップ・ツー・プリファード」プログラムは年間のステータスを維持することを目的に、アカウントを高めるために利用される。
同社のマーケティング・プログラム担当マネジングディレクター、ファーン・フェルナンデスさんは「このプログラムは大きな成功を収めている」と言い、一部の客は職を変えたあと、USエアウェイズにそれほど乗らないかもしれないのに、それまでと同じステータスを維持するためにこれを利用しているという。
他の航空会社はUSエアウェイズと同じステータス販売はしていない。ただし、年末マイレージが基準に達しない場合に500～1000ドル程度を払ってステータスを維持できるサービスをたまに提供している。旅行が大好きな人たちは「マイレージ・ラン」あるいは「ステータス・ラン」のコンセプトを熟知している。それはマイレージを貯め、ステータスを維持するためだけに、長距離の低い旅行をするということだ。1Kステータスのネビンさんはほとんど毎回、アップグレードを獲得しているという。彼は無料搭乗に使えるマイルの100％ボーナスを得ている。彼は航空会社のサイトのカレンダーで最も安くなる日を探している。さらに、特定の航空チケットの残席を追跡できるエクスパートフライヤーやITAソフトウェアといったウェブツールも使う。ネビンさんはマニラ、シンガポール、香港、バンコク、ドバイ、その他の目的地への料金を調べだし、コンピューターでこれらの目的地への往復マイレージをグラフにして保存している。
コロラド州アスペンのモーグル学校を経営するネビンさんは、1回のステータス・ランごとに1万7000～2万1000の「エリート資格取得対象マイル（EQM）」を得ている。このマイルは、通常のマイレージプログラムとは違う。これらは実際の飛行マイレージプログラムだ。つまり、クレジットカード、レストラン、ホテルの支払いで得られるマイルのほとんどのほか、ボーナスマイルも、このEQMには勘定されない。（チェース、アメリカン・エキスプレス、シティバンクなど一部の高所得者向けのクレジットカードは年に一定数のEQMを提供している）。ネビンさんは10 万EQM（ユナイテッドではプレミア資格取得対象マイルのPQMとして知られる）を獲得するために、年に5000～6000ドルを使って いる。
ネビンさんは「私は5回の搭乗で10万マイルを達成できる」と言い、「妻帯者として、私はこれで、妻の我慢とのバランスを取っている」と話した。
彼は来年初めに香港に飛ぶ予定だ。アスペンからのチケットとして彼は1030ドルを払い、約1万8500マイルを得る。また、ユナイテッド航空のボーイング787ドリームライナーでの東京行きも予約し、同社がこのサービスを最初に発表した際の割引運賃989ドルを支払った。この旅行で彼は1万1560EQMを手にすることになる。
ニューヨークの弁護士ランドール・ステンプラーさんは遠く離れた暖かい場所で新年を迎えるのが好きだ。お気に入りはブエノスアイレスで、昨年はシドニーにいた。今回はシンガポールで、追加のマイルを得るために東京とヒューストンを経由して帰宅する。この旅で彼は1万1371EQMを得て、2013年の1Kが 復活する。EQMの他に、彼は4万4000のマイレージが手に入る。国内便ならユナイテッド航空のファーストクラスを利用するのにほぼ十分な水準だ。彼は昨年結婚した際、妻に対して、「IKステータスのために僕と結婚するのではないだろうね」と冗談を言ったという。
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