手当を終えた俺は里田に話しをした。

「……なるほどね…」
里田は眉をしかめながら言った。
俺と里田は病院の外にいる。
「…この町は地球人の町だ。……俺達が下手に関わると大変なことになる」
俺は町の秘密とさっきまでの状況を説明していた。
「…現時点で関わってないって言うほうがおかしいと思うけど?…」
まぁ…確かにな。
「遥美がこの世界に来た理由についてはまだわかっていない。…この町の奴らも…まだわかってないみたいだからな」
「そっか…」
遥美には今病院の中で、寝ているユマを抱っこしてもらっている。
「シマノギの威圧がかかってるみたいだし…あいつらはこの町から出ることはない。」
「シマノギねぇ…結局あいつは何者?…」
里田は手配書を見て言った。
「……犯罪者だと思う。…それを隠してるんだ。…永倉さん達は……」
「……ややこしいことばっかり…もう頭の中ごちゃごちゃ。」
里田は頭を掻きむしっていた。
「……詳しい話しは全部したつもり。…これ以上は何もない。」
「……わかったわ。…戻りましょ。」
「…あぁ。」
俺達はもう一度、病院の中に入った。









「お待たせ、遥美。」
「あっ!お兄ちゃん達!!〓」
「うぇぇぇぇんっ!!〓うぇぇぇぇん!!〓」
戻るとユマが大声で泣いていた。
「助けてよぉー!!〓さっきから泣き止まないのぉ〓」
遥美が俺にユマを渡してきた。
「…どうしたんだよ」
「わかんないから困ってるんじゃーん〓」
俺は渋々ユマを抱っこした。
「どうしたユマ?」
「うぇっ…うぇぇっ…」
…あぁ…めんどくさい。
「怖い夢でも見たー?」
里田はユマのほっぺをつんつん突いていた。
「あぅっ…ひっ…く……」
ビンゴみたいだな…
「泣くな泣くな〓皆此処にいるから。」
「うっ…にゅ…」
俺が背中を優しく叩くとユマは少しずつ泣き止んできた。
「…」
泣き止んできたので俺はユマを床に下ろした。
「!!やぁっ!!」
ユマは俺の足にがっちり捕まって来た。
「……こら、ユマ。」
正直小さな子供は苦手だ。
「烏山君もっと優しくしてあげなさいよ。」
里田の言葉に胸を刺されるが気にしない。
「こんなんじゃ旅もろくにできねぇだろ。…一生帽子外しとこうか…」
「!!いやっ!!!帽子はいやっ!!!」
…表ユマも裏ユマも帽子を触られることは嫌みたいだな。
「可愛いじゃんこの帽子ぃ~〓うさぎだよ!?うさ耳だよ!?〓」
…里田は好きだな、子供。
「………里田が相手してくれ…」
俺は飽きれ半分でユマを引き離した。
「あぅっ…」
「…ユマ、こっちおいで。抱っこしてあげるから」
里田のところにユマは半泣きで走って行った。
「エリンっ…シャウル、ひどいぃ…〓」
「よしよし。ちょっとイライラしてるのよ。…いろいろあって。」
…確かに、この事態を全て解決した訳ではないからイライラしてるのかもしれない。…解決するためにいろいろしているところをユマに邪魔されたらやっかいだ。
「…ユマのせぇ…?…」
「そ、そんなことはないよ…?…ねぇ、烏山君?」
……何も言えねぇ。
「…」
…遥美の事態が解決したらユマの事も考えなきゃいけねぇな。
「…ユマのせぇなんだぁ…〓」
…また泣く…
「もううるせーから泣くなぁ!!!」
「!!!…ぐ……しゅっ…」
…やっと本格的に泣き止んだ…
「……本題だ。遥美、なんでお前がこの世界に来たかはわかっていないが…町の秘密は分かった。」
「町の…秘密……?…」
遥美は頭に?を沢山浮かばせていた。
「……シマノギ…って誰かわかるだろ?」
「うん。…あの、黄緑色の髪した人…」
「そのシマノギって奴がこの町に圧力をかけてるんだ。…そして…この町の住人は全員……遥美と同じ、日本から来た人だ」
俺がゆっくり言うと、びっくりしたかのように遥美は目を大きく開いた。
「私と同じ日本から……!!?私以外にもこんなに沢山の人がこの世界に来たってことだよね!!?…どうして…」
遥美は俯いてしまった。
「……しまのぎ…??」
ユマが何か言ったが気にしない。
「……遥美、落ち着いて聞いてくれ。俺達はこの町の奴らに命を狙われる可能性がある。…だから…遥美は宿でじっと待ってていてくれ。」
「!!そんな…!!私、皆の役に立ちたいのに…!!」
「……遥美ちゃん。…今は危ない目にあわせたくないの。」
里田も遥美を説得し始めた。
「……分かった。…」
「…サンキュ、遥美。」
俺は遥美の頭を撫でた。
「!!ユマもユマもぉ!!」
…本当、うるさい奴。
「…さて、そろそろ永倉さんの治療も終わったかな。」
俺達は治療室へと向かった。

「終わったみたいだな。」
俺が歩いていると治療室のライトが一瞬にして消えた。
「…君達か、彼女を運んでくれたのは…」
「はい。」
医者は少し眉をひそめていた。
「……彼女はそこまで酷く傷ついてない、軽傷だよ。…君の怪我のほうがよっぽどだ。」
…まぁ…頭に包帯巻いていろいろガーゼではったからな…
「……永倉さんは今…」
「起きてるよ。…どうぞ」
医者は中に俺達を入れてくれた。
「!!!…シャウル君…」
「永倉さん。…単刀直入に言います。俺は日本への帰り方を知っています。」
…言いたくはなかったが……仕方ない。
「!!!!!日本への帰り方…!?教えて!!!教えなさいよ!!」
永倉さんは俺に怒鳴り声を上げてきた。
「……だが…帰るとなれば、シマノギに殺される可能性もある。」
「ぁ……」
永倉さんは力が抜けたような声を出した。
「そのためにはシマノギの威圧をなくさなければならない。…違いますか?」
「そ……それは…」
何も答えれないらしい。…当たり前か。
「待って烏山君…日本への帰り方を知ってるって…どうして?…」
里田は俺に聞いてきた。
「お前、日本からこっちに来るためのドア、知らないのか?」
てっきり里田と同じ方法で来たのかと思っていたが…
「何…?ドアって?そんなドア、知らないんだけど…」
「…後で説明する。とりあえず、シマノギの威圧をなくす。…何か手段はありませんか永倉さん」
永倉さんは少し考えた後、口を開いた。
「…一つ…だけなら」
「!どんなことでもいい!…わかることがあるなら…教えて下さい」



「…わかったわ。」
 
 皆様ご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが…
 
 楽音様が私の為に絵を書いてくれましたぁーっ!!!
 
 
 ネウル↓
甘党×マスラ~(マスタード)-Image012.jpg
 
 
里田↓
甘党×マスラ~(マスタード)-Image013.jpg
 
 
 ネウルと里田を描いて貰いました〓
 
  ありがとうございました〓
「!な、何…!!?」
永倉さんは驚いた顔をしていた。
俺も驚いていた。
「……腹の中から…出て来た。」
…やべ、俺もう末期かも。…
「俺は貴様の中から出て来た力だ。…こんな姿だが。」
俺の腹から出て来たのは真っ黒い小さな獣のような…何て言うか…
「…この女は今から俺が殺す。」
「!!やめろ!!!」
力がどのくらいの勢いがあるのかわからない。…だが…人を殺せる力があるのは俺にもわかる。
「…な…なによ…こいつ、やっぱり人間じゃないじゃない……。獣がお腹から出てくるなんて聞いたことないわ!!!」
永倉さんは力にナイフを向けた。
「!!やめろ永倉さん!!」
「…あんたはこいつの処理が終わったらゆっくり殺してあげる……。」
「……」
力は何も喋らない。
「…獣…おい。」
「……お前はやめろと言った。…俺はお前の一部。………命令には逆らえない」
……そうか。…よかった。
「……しかし、この女が俺を殺すと言うならば…俺はこの女に手を下す」
力は永倉さんを睨んでいた。
「!……死ね…!!!」
「!!永倉さ………」
俺が名前を言い終わる前に何かが起こった。
「……け…獣…?…」
「…シャウル=タンナステアの一部の俺様をナメるなよな。」
…永倉さんは気絶したかのように倒れていた。
「…お前……何を」
「大丈夫、殺してはいない。…言っただろう?…俺はお前に逆らえない…と。」
力は真顔で言ってきた。
「…」
実際、真っ黒いから目の鋭さがよくわかる。
「…助かった、サンキュ」
「気にすることじゃない。」
そう言った獣は人間の姿に変わった。
「!!…」
ち…ちっさ!!!!
「…行くぞ、さっさと動いて。」
「…は、はぁ……」
俺はいつの間にか自由になっていた手足を動かした。
「…お前、名前は?」
「……力。」
名前はない…か。
「…じゃあ俺が後で考えてやる。」
「……分かった」
「あーーっ!!!!いた!!いたよ烏山くん!!」
里田の声がドアの外から聞こえた。
「!里田…」
「お兄ちゃん!!よかった!!」
遥美も一緒に探していてくれたらしい。
「…二人とも…心配かけたな。…わりぃ」
「……本当よ、何処にいたのよ。」
「それはまた後で言う。…それより、この中にいる永倉さんを運んでくれ。」
俺は倉庫の中を親指で指した。
「……普通それはさぁ俺が運ぶとか言うでしょ。」
里田はため息を吐きながら中に入っていった。
「……お兄ちゃん。この男の子、誰?」
遥美は首を傾げて聞いてきた。
「あぁ…こいつはな……」
「俺はシャウルの一部。…シャウルの体の中から出て来た。」
…単刀直入にいいましたー…
「…力…君?…可愛い帽子だねっ!」
遥美は獣に帽子を被せようとした。
「!!やめろ!!…」
獣は全力で遥美の腕を振り払った。
「…い、いった…」
「…お前…何を…」
何故?…どういう事だ?…
俺はさりげなく獣に帽子を被せた。
「!!!!……」
獣は俯いてしまった。
「……獣?…」
「力君…?」
「うっ………うぁぁぁぁんっ!!!!〓」
え…
「えぇぇぇぇ!!!?Σ(゜ロ゜ノ)ノ」
何だ!!?何が起こった!!!?
「な、泣くな!!〓どうした!!?」
俺は獣の頭を撫でた。
「…ひっ…く…うっぅ…」
泣き止まない。
なんだこれ、俺が泣かしたみたいじゃん。…いや、俺が泣かしたんだけどな。
「…泣き止め…どうしたんだよ…」
「…うぇっ…シャウル、…僕に帽子かぶせるからぁっ…〓」
ぼ、僕…?
「…お前…さっき俺って…」
「うぁぁぁぁんっ!〓ばかばかぁ!〓シャウルのばかぁあ〓」
…拉致があかない…
「…悪かった、俺が悪かったから…」
頼むから静かにしてくれないかなぁ…
「…ぐずっ…」
……訳がわからない。
「…あのさぁー…お前…」
「……お名前…つけてっ」
お名前って……ないのかよ。
…まぁ、俺の中から出て来たし……
「……ゆるかわマシュマロみたぁい!」
「…ゆるかわマシュマロ…?…」
遥美の言葉に眉をひそめた。
「うん!〓」
そんな言葉を使う小学生を聞いたことないが…
「ゆるかわマシュマロ…みたい……」
ゆるマロ…かわシュ…ゆるマ……ユマ…
「よし!お前の名前はユマだ。ゆるかわマシュマロの略、いいな?」
「ユマ…?…うんっ!!〓」
気に入ったらしいな。
「…ちょっと…何してるのよ。」
倉庫から永倉さんを担いだ里田が出て来た。
「お。お疲れ。」
「…人事な…〓」
「病院行くの…?」
遥美は永倉さんを見て言った。
「そうだな。里田、そのまま病院に運べ」
「あんたねぇ…?〓………はぁ。…わかりましたよ。運びますよ。」
里田はぶつぶつ言いながら運んでいった。
「あっ!待ってお姉ちゃん!」
その後ろを遥美はついて行った。
「…里田の奴…ユマのこと気づいてないみたいだな…」
5歳ぐらいの身長だからしかたないか…〓
「……ユマ、歩くの?…」
「あぁ。行くぞ」
「いやっ…ユマ、歩きたくないっ」
…何言ってるんだこいつは…
「我が儘言うな。ほら、あいつらが見えなくなる。」
「いやっいやっ…ユマ、歩きたくないっ」
……。
「ユマ、歩かないとお前を置いて行くぞ。」
「!いやっ…いやっ!」
ユマは首を横にブンブン振った。
「なら歩け。…我が儘言うな。」
「…ぐしゅっ…」
本当……さっきの裏ユマとは大違いだな。
「…お手々…」
ユマの小さい手が俺の手を握ろうと背伸びしてきた。
「…」
俺はユマの手を握ってやった。するとユマは笑顔で俺を見てきた。
「…行くぞ。」
「うんっ」












「烏山君。…その子、誰?」
病院に着いた俺とユマは里田達を見つけ近くに行った。
「……ユマ。」
「…ユマ?…知ってる子?…なわけないか。」
里田はユマをジッと見ていた。
「……俺の腹から出て来た。」
「烏山君のお腹からねぇ。………………………………烏山君のお腹ァァァァ!!?」
病院ではお静かに。
「あぁ。…なんか、俺の力らしい。」
「……烏山君…あんた、末期じゃない?…もう。」
最初はそう思ったから。
「こいつは俺の一部だから。…旅に連れていく。」
「…こんな小さな子を?…無理があるんじゃ…」
里田は少し不安そうに見ていた。
「…大丈夫だよな?…ユマ。」
「ユマ、がんばるっ」
ユマは里田を見ていた。
「……ふーん。…いいけど。……別に」
…そう言う里田は何故鼻血を出すのか。
「…可愛すぎ。…ユマ」
「…そぉかぁ?」
俺にはわからない。
「…シャウル、抱っこっ」
ユマは両手を上に上げた。
「……駄目だ。」
めんどくさいし。重そう。
「Σ(゜ロ ゜)…だっこぉ…」
「駄目っつってんだろ。」
何回言わせるんだ…
「やだやだっ…だっこだっこぉ!」
「……ユマ。」
俺はユマを睨んだ。
「!!…ぐしゅっ…」
「烏山君ひど…」
里田はユマの事を抱っこした。
「!!」
「ほぉら、よしよし。」
里田はユマの背中を撫でていた。
「…よく抱っこなんかできるな。」
「子供はこの時期が一番甘えたい時期なのよ。」
「…さとだ…?…」
ユマは里田に向かっていった。
「…うーん…里田なんだけど…エリンって呼んでくれたほうが嬉しいかな?」
「…エリンっ」
ユマはぎゅっと里田に抱き着いた。
「…しかも、今の時間帯はお昼寝の時間だしね。」
里田は椅子に座り、ユマの背中を優しく叩いた。
「…う…にゅ……」
眠かったらしい。…だんだんユマのまぶたが閉じていった。
「くー…ぴー……くー、ぴー…」
「…ほらね?」
里田が小声で俺に言ってきた。
「…」
今度から少しの我が儘は我慢してやるか。…まだ子供だから。
「…俺らがここにいると永倉さんに殺される可能性があるな…」
「分かったの?…秘密が…」
「あぁ、一応な。」
町の秘密は……な。
「……話すよ。…この町の秘密…」