朝日新聞(http://www.asahi.com/national/update/0501/OSK200905010022.html)
「私、憲法です。リストラになるってホントですか?」
2009年5月2日14時59分

「私自身が憲法なんですよ」と、ネタを披露する松元ヒロさん=4月18日午後、岐阜県中津川市、佐藤慈子撮影

ライブを楽しむ観客。笑いながら、知らぬ間に憲法について考えている=18日午後、岐阜県中津川市、佐藤慈子撮影
腹を抱えて笑いながら、少しだけ憲法のことを考えてみませんか。芸人の松元ヒロさん(56)は、自分が憲法になりきるネタ「憲法くん」を続けている。毒舌な芸風ゆえテレビではあまり見かけないが、全国の市民団体や小さな劇場からは引っ張りだこ。3日、62歳になる憲法くんは島根県の憲法集会に現れる。
4月18日、岐阜県中津川市の文化会館。平和をテーマにした市民の集い「ピースジャンボリー」の会場は、爆笑の連続だった。
「姓が日本国、名は憲法。あまり気安く声かけたりしないように」
赤い縁の眼鏡をかけて、「憲法くん」になった松元さんが、少し偉そうに言うと、約600人の観客は一斉にプッと噴き出した。
「千葉にあるディズニーランド。あそこのネズミだって80歳で歌って踊るんだから、私も負けていられません」と、昨年80回目の誕生日を迎えたミッキーマウスに威勢良く対抗。改憲論に触れる時は肩を落とし、「私がリストラになるってホントですか? 困るんですよねぇ。今の日本じゃ、年金出るかわかんないし」とぼやく。
憲法くんの誕生は97年。当時、社会風刺のコント集団「ザ・ニュースペーパー」の一員だった松元さんは、東京で開かれた憲法記念日の集会で初めて披露した。翌年から独立し、ピン芸人として歴代首相をまねしておちょくったり、時事ニュースをパントマイムで表現したり、年間150回ほどの公演をこなす。その大半で登場する憲法くんは、笑いっぱなしの松元さんのネタの中では異色。観客は次第に真顔になっていく。
憲法くんは問いかける。「私のこと『現実に合わない』と変えようとする人がいます。でも、私って理想でしょ。現実は理想に近づけるよう日々努力するものじゃないんでしょうか?」
ハイライトは憲法くんの「魂」である前文の朗読だ。
再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し……
徐々に高揚する憲法くん。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う!
言い切ると、観客から大喝采。松元さんを呼んだジャンボリー主催者の山本正博さん(68)は「前半は笑わせて客の気持ちをつかみ、後半で憲法について考えさせる。関心のない人でもヒロさんの話はすっと入ってくる」。
来年5月には憲法改正のための国民投票法が施行される。憲法くんはこう言って、幕を下ろす。
「私をどうするかは皆さんが決めることです。私は、皆さんの私だから。それでは、私を皆さんに託しましたよ」(山田理恵)
憲法に関しては、良くも悪くも安倍政権の際に考えるきっかけが与えられたわけであるが、その後は下火となった。「いいものはいい」いつもそう思う。そう、「本物」といわれるものは、常に新しいままでいられる。憲法の、特に9条はそのようなものなのではないかと思う。
生きていく上で必要なことは、善悪の区別だけではなく。「あってもいいが、なくてもいいもの」を見極めることだ。その中で何を選ぶのか。自分は命を大切にしたい。どんな人であっても、命を大切にしたい。別に名誉やプライドなんてものはどうでもいい。生き続けたい。自分のため、そして生涯出会うすべての人、同じ時、同じ地球という場所にいるすべての人のためにも一緒に生きたい。
「理想」というものは人をより豊かに生かす力がある。現実の問題とは折り合いをつけていきながらも、絶対に譲れないものは譲らないで歩みたい。自分とは意見の違う他人のことを非難中傷するのではなく、自分の歩みをしっかりしたいと思う。
善い生き方をしなければ。そのためにも「本物を見る目」これがポイントだ。