​父ちゃんが10分だけ面会を許してもらえた

個室に戻ってきた
三男坊
意識朦朧
寝てる体勢がきつい
動きたいけど動けない
酸素マスクで喋りにくい

父ちゃんと母ちゃんと看護師さんで
体勢を言われた通りに変えてあげるけど
だめだ

色々と動きたいが
傷口が痛すぎる
3分ぐらいで要求がすぐくる

クッションの置き場所を
変えて欲しいと指示してくる

だけど傷口が大きすぎるから
仰向けにしかなれない

父ちゃんが帰る時間が来た
帰ることを伝えると
ダメーと言いながら

事情をわかっているので
ウンウンとうなづいて
また、ぐータッチで
サヨナラをした

コロナさえなければ
もっと居れたのにと
母ちゃんついついため息が出た
退院するまで会えない
背中を見つめてた
母ちゃんは
父ちゃんこそ三男坊の
そばにいてあげて欲しかった

三男坊は
しっかり目を開けて起きると
何時と?時間をとにかく聞いてくる
次に痛いって
痛み止めを要求してくる
次に
何か飲みたいと訴えてくる

まだ飲めないと返すと

あー早く飲みたい、長すぎると

湿らした物が大丈夫になり
それを要求してくる

痛み止めを入れてもらえたら
直ぐに寝るが
痛さですぐに目が覚める

また時間を聞いてくる

飲めるかを確認するために
先生達のことを探す

夜中なので先生達はもういない

まだ飲めない
辛いとなげく

痛さとの格闘
深夜痛み止めを時間ごとに要求して

寝れないと訴えてくる
寝かせて欲しいと呟く

眠れる薬を欲しいと訴えるが
無理である

酸素マスクがとれ
鼻からの酸素に切り替えて
もらえた

お母さんって
三男坊がよびつける

どしたん?と尋ねると
お母さんは水分とりよってびっくり
水分とらないとあかんでって
話かけてくれた

え〜お母さんの心配しなくていいよ
大丈夫水分とるから
心配しないでいいよありがとうと
伝えると

うん、うんとうなずく

この子はえーんえーんえーん
なんちゅう優しい子なんだと
手をさすりながら
泣きそうだった

自分が飲めないのに
どんだけ母ちゃんのことを
見てくれてるんだと泣

少し寝ついた後
倒れては駄目だと三男坊に
背を向けて水分をとった

人が痛みを感じた時には
自分のことのようにおもえるように
(back numberの水平線)
頭の中をぐるぐる歌の歌詞が流れてきた


きっとこの子は
母ちゃんが知らないところで
たくさんの人に
優しくできていんだろうなと

そうじゃないと
こんな大手術の後に優しくできない

今まで周りのお母さん達から
優し子だとみんな言ってくれてたけど
どんな優しさかもわからないまんま
人に優しくできるなら
よかったって思ってた

自分の体が20cm以上切られて縫われていたら
人のためになんて考えれないと思う
だけどこの子はこんな時にまで
優しさを出せれる

こんな優しい子を
癌がなんでこの子の体にいるのかと
考えると
悔しかった

個室だから携帯で音楽をかけたり

手をさすりながら
久しぶりに子守唄を歌ってみたら
寝てくれた

痛み止めの薬を要求する間寝てくれた

それを夜通し繰り返す

記憶がほとんどないまんま

夜明けを迎える

まだまだ続く痛さとの戦いが、、、