​どれだけ待っただろうか

朝の9時手術室到着
予定時間を指で数える
しかも何回も
夕方ぐらいから
母ちゃんは1人でそわそわし出す

待合室から出て
朝3人で歩いた手術室までの廊下を
1人で歩く

開かない手術室の前を
無駄にウロウロする

たまに扉が開いたら
ベッドが並んでいたのが見えた

連絡はなく、まだ終わりそうにない

廊下にいた医師が電話をする
誰かわからないが
9時頃になると言う会話が聞こえた

うちの三男坊のことではないように願って

また待合室に戻った


また1時間が過ぎる
その時
看護師さんが
途中経過を知らせてくれた
9時間は経っていた

順調にいっていると
出血もなく輸血もしていないと

心配をしてくれていた
移植コーディネーターさんからも
連絡を受けた

午後8時半終わりましたと連絡が来て

あー、良かった泣き笑いって
声が出てしまった

手術室の前に
迎えに行っても扉が開いたけど
違う患者さんが出てきた

20分経ってやっと出てきた
痛い
痛い
痛い
と叫んでた
たくさんの管が装着されて
意識朦朧としながら
涙を流してる息子

よく頑張ったねと声をかけ
手に触れた
部屋に戻る頃、外は真っ暗だった

父ちゃんはもう入れないから帰るねと
病棟前で言うと

痛いって叫んでたのに
父ちゃんを見ながら手をあげたえーん
すごいよ
真似できない
わかってっる

強くて優しい子だ泣

中学生になった子が耐えてくれた手術
それは
すごく大変な手術でした

先生、みなさんありがとうえーん

痛い、痛い、痛いって
声が聞けて
涙がとまらなかった