「ビヨンド・ユートピア 脱北」観てきました。

 

 

世界で最も閉ざされた国のひとつ・北朝鮮

2023年サンダンス映画祭にて開催直前までシークレット作品として詳細を伏せられてきた1本のドキュメンタリーが、世界中から集った映画ファンや評論家、映画関係者達を震撼させた。それが北朝鮮脱北者の過酷な旅の実態が生々しく記録された恐るべき、そして映像的にも非常に貴重な作品『ビヨンド・ユートピア 脱北』である。
1949年9月の建国以来、70年以上にわたり北朝鮮社会を支配してきた金日成の一族は、国家を閉鎖された状態に保ってきた。北朝鮮に住む人々はそこが「地上の楽園」だと信じ、最高指導者である金一族を神と同等の存在として敬い慕う。しかし、一糸乱れぬ壮大なマス・ゲームや、華々しい軍事パレードの裏側で、ナチスのアウシュビッツやソ連のグラーグを模した強制収容所の存在、密告や拷問、処刑、飢えや貧困といったおぞましい人権侵害の数々が報告されている。

↑公式サイトより

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全編再現映像などはない、アメリカ制作のドキュメンタリーです。
ドキュメンタリーの中心人物は、脱北の支援組織にいるキム牧師、
映画の中では五人家族と、北朝鮮に残してきた息子を脱北させたい女性を追っています。
 
ネタバレ含む感想です。
アメリカ人の脱北支援者が
「北朝鮮ほど抑圧された国家はなく、国全体が収容刑務所であり、一番近いのはアウシュビッツだ」だと。
 
北朝鮮の隠し映像や、脱北者イ・ヒョンソさん、脱北支援者の話によると
小さい頃からアメリカ人は野蛮な人●しと教えられ、
幼児が童謡の「キラキラ星」を歌うかのように、
振付ありで「(野蛮な…だったかと)アメリカ人は出ていけ!」歌い
算数の授業では「アメリカ人が5人いました。3人〇すと、残りは何人でしょう」
国語では金日成の神話化された功績(聖書のパクリ)を学び
幼児から学生まで、マスゲームの練習に駆り出されます。
練習中はトイレに行くことができず、その場で粗相するしかなく
学生が「韓国映画を見た」という罪で、公開処刑される国…
 
脱北者支援団体「地下鉄道」の中心メンバーであるキム・ソンウン牧師は
10年の間に1000人以上の脱北を手伝ってきました。
キム牧師の奥さんは、中国で知り合った北朝鮮人で
奥さんを脱北させるために学んだ知識が、今の活動に役立ってるそうです。
 
5人家族が中国の山の中で見つかったと、ブローカーからキム牧師に連絡が入ります。
ブローカーは親切心ではなく、人身売買で金もうけをするような輩で、
おばあさん、娘夫婦、幼児二人では売ることができないから
それなら支援者団体からお金をもらおうと、キム牧師に連絡をしてきたのでした。
金正恩政権になり、中国と北朝鮮の国境警備が益々厳しくなり
中国から北朝鮮友好国であるベトナム、ラオスを抜けてタイまで行き
(ベトナム、ラオスで見つかると北朝鮮に強制送還される)
タイで警察に捕まることにより、やっと「韓国に行きたい」と言えるそう。
キム牧師は家族と一緒に、ジャングルのような山を歩き、
今までも危険な目に何度も遭ってきたそう。
それでも同行するのは、脱北者が人身売買などの
トラブルに巻き込まれないように、最後まで付き添うそうです。
 
そして北朝鮮にいる息子を、脱北させたいリ・ソヨンさん。
中国まで逃げ出せたのに、国境警備員に見つかり、
北朝鮮に強制連行されてしまいます。
ソヨンさんが収容所で暴力を受けたように
息子もひどい目に遭っているだろうと、
それならいっそ、し〇でしまった方がましだと涙します。
 
 

金賢姫の手記を読んだのがきっかけで、一般市民から金一家に近いところに

いた脱北者の本をいくつか読みましたが

今が一番生活が苦しそうだし、容赦なく粛清されてるように感じました。

(実の兄と、正日政権の中枢だった叔父までも手にかけるくらいですから…)

 

今読みかけの、元北朝鮮外交官の本の中に

「金一族に献上する品目を集めるため、平壌から購入団がデンマーク訪問し

酔った勢いで、祖国の人々が飢え〇にし、必死に外国に援助を頼んでるのに

これはいったい何のまねか?と、露骨に不満をぶちまけていた」と書かれました。

とても勉強になったし、考えさせられたドキュメントでした。
 

 

 

最後に、お勧めの脱北関連本紹介します。

どれもすごく読みごたえがあります!

 

 

この本を読み、はじめて北朝鮮という国に興味がわきました。

工作員になるまでの生活、李恩恵こと田口八重子さんのお話も出てきます。

 

 

貧しい家の出身だった著者が、各地から選抜メンバーを集めるための

オーディションにより選ばれ、北朝鮮一の劇団に所属し

金正日のパーティーに呼ばれることもあったそうです。

金正日の異母弟のお見合い話に驚き、兎銀姫という女優の悲劇に衝撃をうけました。

 

 

 

マカオで暗殺された金正男の従兄、李韓永著

著者の母親が金正男の母親と姉妹で

金正男と親しく過ごし、金ファミリーの内幕が見える本です。

著者は脱北後、金正日の命令でソウルで銃〇されました。

 

 

 

韓国人映画監督申相玉と女優崔銀姫のドキュメント。

映画オタクでもあった金正日が、北朝鮮での映画作りのために2人を拉致しました。

金正日の子供に初めて会い「お名前は?」と聞いたらきょとんとしていて

「この国では、金正日の子供に名前を聞く人は誰もいない」ことに気づいたと。

拉致から脱出まで、ハラハラしながら読みました。