last scene。 | 愛の裏側

愛の裏側

アヤと私の4年半を残しておきたい。
過去の別ブログからの転記。
記録、そして私の記憶。

新幹線の改札で、さよならするつもりだった。


アヤが乗った電車が去っていくのを見送るのは辛いから。


だけどアヤの荷物が多かったから、

座席まで荷物を運ぶのを手伝うことにした。







電車の到着を待ちながら喫煙所で一服している間も、

アヤが時々哀しい顔をするから切なくなる。




だけどアヤはアヤで、


『今夜ユミさんはホテルで一人だから、

寂しくならないようにお友達と約束があって良かった。』


そう言って私のことを心配している。







少し離れた所で、アヤが仕事の電話をしている。



もし私がこのままアヤと一緒に新幹線に乗って行ったら、、、

もしアヤがこのまま東京に留まったら、、、


どうなるだろう?



ふと考えたけど、

その想像は膨らまず、ボンヤリとすぐに消えた。






電車を待つ時間は、

一緒に話しているのは楽しいけれど、

それは別れの時を待つ時間でもあり、

複雑な気分で落ち着かないひと時でもあった。









程なくアヤの乗る電車がホームに入ってきて、

アヤの座席まで荷物を運び込む。



「降りる時ちょっと大変だと思うけど、

気を付けてね。」



いよいよ別れの時を迎え、アヤの表情が一気に変わる。





「見送らないよ。

電車を降りたらそのまま行くから。」



『ユミさん



アヤはもうそれしか言えない。

目に涙を溜めて、もう溢れそう。



泣くのを堪えるその顔は、

私の心をキュッと締め付ける。


思わず私はアヤの肩を引き寄せ、

耳元に小さい声で囁いた。







「アヤ、愛してるよ。」







今の私には、この言葉を言うことしか思いつかなかった。



アヤが不安な気持ちに潰されそうな時、

どうか私の存在を感じて欲しい。






アヤが私の目を見てうなづく。


もう堪えていた涙は流れてしまった。







アヤ、、、次に会う時まで元気でいてね。









ホームに降りて、一度アヤに手を振り、

私はそのまま階段を下りていった。




階段を下りる背後で、

アヤが乗った電車の発車を知らせるベルが鳴っている。












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