名建築と個性豊かな7本の桜のコラボレーションが楽しめる、桜守監修の庭園。


京都市上京区  「京都府庁旧本館・観桜祭」(古都探訪 129)



京都府庁旧本館は明治34年、京都府の技師であった松室重光により設計、施工されたルネッサンス様式の近代建築物で、平成16年、国の重要文化財の指定を受けた。



西洋近世の大邸館を彷彿させる、重厚な趣きのファサード。 
尚昭和46年までは京都府庁本館として、また現在も執務室や会議室として使用され、現役の官公庁建物としては日本最古のもの。



正庁部分を通り抜け中庭を窺うと、目の前に艶やかな立ち姿の、しだれ桜が迫ってくる。



このしだれ桜は、円山公園の初代「祇園しだれ桜」の孫にあたる実生木で、「桜守」として名高い16代佐野藤右衛門氏が、先代と共に植栽したもの。



その四方に伸びる枝ぶりの優雅さは、主役に相応しい貫録を備え、まるで芸妓の艶姿を眺めているかのよう。



中庭を一回りしたあとは旧本館の2階へと上り、ガラス窓を額縁に見立て、絵画を鑑賞するかのように桜を愛でてみる。




スクエアな格子と曲線の枝が対比し、制限された空間が逆に、一層自由で伸びやかな印象を与える。



流れるようなやわらかさと、薄紅色の美しさは京情緒そのもの。



祇園しだれの南東角で競うように咲き誇る、紅一重しだれ桜。



しなやかな枝先がまるで花笠のようであり、時折春風に揺れるさまは、祇園しだれの優美さに勝るとも劣らない存在感を示す。



南西角にスイッと立つ2本の大島桜は、大輪の白花をまんべんなく纏い、野生種の持つ独特の力強さを感じ圧倒される。



2本の大島桜に挟まれた形で凛と構える、容保桜(かたもりざくら)
大島と山桜の特徴を併せ持ち、平成22年、佐野籐右衛門氏により命名された珍しい品種。


庭園内には他に、時期がずれ満開を迎える、はるか桜と紅八重しだれ桜があり、長い間堪能することができる。


             photo by OLYMPUS OM-D EM-5Ⅱ