
2018年秋
不倫が始まる1年前
義母が入院したのでお見舞いに行こう
そしてせっかくだからちょっと遠いけど足を延ばして富岡製糸場見に行ってみない?
夫が言った
素直に嬉しかった
その頃の夫は疲れていてモラの顔がチラチラのぞき傷つくような事も言ってきた
私は言い返す事もなく我慢していた
かなりのストレスが言わせててしまってるんだから仕方ない…
久しぶりに夫婦で週末ゆっくり過ごしながら絆を深められたらいいな
こうして泊まりがけで行く事になった
義妹も仕事の後毎日のように病院へ通っていたのでもかさん達が行ってくれたら母も喜ぶし私も一日はゆっくりできるからありがたい、そう言っていた
病院に着くと義母はわざわざ来てくれてありがとうねと潤んだ目で言った
いつも嫁である私に優しい母
結婚して間もない頃、義母に言われて涙したことがあった
もかさんのことを自分の本当の娘だと思ってるよ
その言葉の通りいつも帰省すると私が好きな食べ物を用意して待っていてくれる母
テーブルいっぱいにご馳走が並んでいる
ある時私は帰省と同時に風邪をひいてしまい熱を出した事があった
母はさっと2階に上がりお布団を敷いてくれ、もかさんゆっくり寝ていてね
しばらくすると生姜湯を作って持ってきてくれた
風邪の時にこれ飲むと効くと思うから
母が1階に降りたあと思いやりの深さに泣き虫の私は静かにまた泣いた
そんな昔を思い出しながら義母のそばでしばらく過ごしまたお正月ね!と病院をあとにする
義母の元気な顔を見られて良かったねと車の中で話していた
ママ、母ちゃんのお見舞い急だったけど一緒に来てくれてありがとう
あまりありがとうとか口に出さないのによっぽど嬉しかったんだなと思った
私だって心配だったから元気な顔見られて良かったよ![]()
そして色々な話をしながら何時間かかけて富岡製糸場に着いた
駐車場を降りて少し歩くと正面に写真で見た趣のある煉瓦造りの建物が見えた
入り口近くまで行くとカメラマンがいた
よろしかったら写真撮りませんか?
撮ってもらおうかと夫
今回1泊2日のプチ旅行
この旅で心も解放されて夫も疲れが吹っ飛んだような優しい表情に戻りリラックスしている
夜も美味しいご飯を食べながらお互い色々な話が出来た、そして少し開いていた2人の心の距離がわずか1日2日でぐっと縮まり絆が深まった実感
カメラマンがこちらにレンズを向ける
はい!ニコッと笑ってくださーい!
建物をバックに2人並んだその瞬間不思議な感情、感覚が交差した
夫と腕を組みカメラに目を向けながら
今この瞬間がとても幸せ…
充足感に満ちた感情
夫も組んでいる私の腕をぎゅっと引き寄せる
でもなんだろう、この違う感情
淋しいような悲しい気持ち、不安な気持ちも交差する
その次に頭に浮かんだのは…
この時、このツーショット写真が幸せな夫婦の最後となるだろう
来年は笑顔でいられなくなる
この2つだった
そういう感覚に陥り幸せの絶頂とこれから何かが起こってしまうかもしれない底知れぬ不安
虫の知らせがこの時確かにあった
ざわざわした胸騒ぎ
その時出来上がった写真を私はダッシュボードにしまいながら多分しばらく見ないだろう、いや見られないだろう
そう思った
嫌な虫の知らせは的中してしまった
この旅行から一年後夫は不倫沼に自ら堕ちていった
それから何年も苦しむことになる
あれから6年
あの時思った通り写真を一度も目にしていない
あの日の感覚はあれ以降ずっと忘れられない
⭐️秋服ほしい

