秘苑 35 | 水脈のブログ

水脈のブログ

読みきかせ記録(絵本等の紹介)と、自分の心に生じた想いや、刻まれた記憶を思いつくままに綴っています。
当ブログ開設当初から好きだった東方神起やジェジュン、ユンジェに関して。そして、2021年以降は、防弾少年団(バンタン:BTS)のことに、思いを馳せることも。

伊 秀滿(イ スマン)、
彗星(ヒェソン)、
狙撃手、放火実行犯の尚宮は、
死罪に処された。
そして、文定(ムンジョン)王后・伊氏は、
廃妃のうえ、
息子共々、流罪となった。

今回の一連の事件に、
星宿庁の巫女が関わっていたことと、
事件の発端が、
ジェジュン世子邸下の母君である
素眞(ソジン)王后・金氏の出産時に、
自らがあげた祝詞も、
遠因となったことの責めを負い、
巫女の銀河(ウナ)も、その職を辞し、
星宿庁自体も、公の機関としては、
事実上、廃止となった。

また、世子の命を救った功により、
ユノが、性別を偽って、宮中に潜入したことは、
極秘裏に処理され、
罪に問われることはなかった。
のみならず、
5年前の事実が明らかにされたことで、
ユノを当主として、
鄭(チョン)家の再興も、認められることとなった。
同じく、張(チャン)尚宮も、不問とされ、
今までどおりの参内を許された。

事件が一段落をし、
宮廷内が落ち着きを取り戻したころ、
敬(キョン)嬪・沈氏が、正室に昇格した。

~☆~☆~☆~☆~☆~

ユノは、咎めを受けなかった とはいえ、
けじめはつけなければならない。

東宮殿では、しばらくの間、
その噂話が、あちこちで囁かれたのだった。

「聞いたか?
世子邸下の寵愛を、一身にお受けになっていた
ユノ様は、重い病のため、宿下りされるそうだ。」

「ジェジュン世子邸下も、
ようやくお元気になられたというのに…。」

「まことに…。惜しいことよ。」


張(チャン)尚宮、洪(ホン)尚膳への挨拶は、
すでに終えた。
後は、一人残すのみだ。

ユノは、東宮殿に赴き、
ジェジュンの前に、かしこまった。

二人きりになってしまったら、
離れられなくなってしまう
そう考えたジェジュンは、
あえて、人払いをしなかった。

ユノは、正式な礼をした。

「ジェジュン世子邸下、
短い間でしたが、
身にあまるご寵愛を賜り、
感謝申し上げます。

離れてはいても、
ジェジュン世子邸下の
ご健康とお幸せを
毎日、
空の下で祈っております。

そして、
民を思いやる、心広き、
国王におなりあそばしますよう。

これにて、お暇いたします。」

ジェジュンは、ユノから視線を外さず、
黙ったまま頷いた。

膝に置いたジェジュンの色白の手の指先が
微かに震えてるのがユノの目に入った。

顔を上げたユノと、
二人の視線が、絡み合った。
たまらずユノは、口走った。

「なれど、必ず再び、
御前に戻って参ります。
それまで、どうか…。」

ユノの言葉を遮るかのように、
ジェジュンは、告げた。

「待ってる。ずっと、お前を待ってるから。」