バロック時代の作曲家は、貴族の宮廷(か教会)を仕事の場としておりました。
貴族に雇われていた訳で、作品も演奏も貴族のためのものでした。
ピアノも一般家庭で楽しまれることはなく、一部の貴族が所有するに止まっていました。
1789年フランス革命に代表される社会の変化の時期を経て、市民階層の力が強まり、音楽も市民のものとなっていきます。
サロンやコンサートホールなどの音楽の場が出現しました。
大勢の人を対象にした演奏には大きな音量を必要とします。
音楽的な要請とあいまって、ピアノもダイナミックな表現が必要となりました。
その要請に応えたのが、強い力で弦を張ることであり、それまでの針金から鋼鉄線つまりピアノ線への変更、それを支えるための支柱の強化、鉄骨フレームの採用へと進みます。
アクションは、音域の拡大、ハンマーの大型化、フェルトの採用、連打性能を上げるための改良を経て、現在のヘルツ式アクションとなり、音質・タッチ・表現力も大きく変わります。
ペダルは、整理されて現在の3本、ダンパー・シフト・ソステヌートのペダルになりました。
ピアノも発明当時は、作曲家、演奏家には不評で、ピアノ用と明記した音楽はありませんでした。
バッハもあまり好まなかったという記録があります。
ピアノを駆使した曲が作られるのは、モーツァルトの時代からです。
ピアノの性能をフルに引き出そうとした作曲家にベートーヴェンがいます。
モーツァルトの使用したピアノと同系統のピアノを使用しながらも、ダイナミックな演奏を目指して作曲されています。
当時の楽器の性能をはるかに越えたものをピアノに要求しています。
現代のピアノは、このベートーヴェンが思い描いた理想のピアノを具現化しております。
その後、ショパン、リストなどのピアノの名人、大作曲家の要求に応えるべく、ピアノが改良された結果が現代のピアノに結集しております。