今日はおじさんと飲み行った、イヤ、もうおじいさんといってもいいかも知れない

前の会社で一緒だった人。

先月で(祝!)定年退職をしたらしい。

社内でも全然目立たなくて、とっても影が薄かった

はっきり言って居るのか居ないのか分からないような人

でも、自分はそんなおじさんが結構好きだった


いつも黙々とロバさんのように仕事をこなす、そしてちょっと天然。

こっちの好意の気持ちというのは、相手にも伝わるらしく

たまに視線を感じてビクッと振り向くとニッコリして“お昼・・・行きませんか?”

だから、飲み会開催の時は必ずお誘いしたものだ

そんなおじさんから今日突然電話がかかって来て“飲みにでも行きませんか?”って。

モチロン行きますよ!


新宿で待ち合わせをして、ちょっと静かで小さなお店にご案内

おじさんの声はとても小さくてよく聞こえないからね

二人でカウンターに腰掛けた・・・・・・・・・・それっきり、おじさんは何にもしゃべらない

仕方ないから懸命に話を振っても会話はたいして盛り上がらず

そして2時間経過

まぁ、こんなのも嫌いじゃないけどさ “何の為に自分は呼ばれたんだろう?”

今日の飲み会をキャンセルするんじゃなかったと激しく後悔し始めた頃


おじさん: “先月、・・・定年退職したんだよね”

ノラ: “はぁ。(とりあえず) おめでとうございます”

おじさん: “・・・・・・・・・・・・・・・・・・”

ノラ: “・・・で、でも 今はもう悠々自適ってかんじですよねっ!” 

おじさん: “うん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・”

ノラ: “じ、時間も自由だし、何か趣味とか好きな事したり・・・ねっ”

おじさん: “・・・・・・・・・・・・・・・・・・何だか、気が抜けちゃってね

そこから、おじさんはこっちがビックンってするくらい

怒涛のようにじゃべりだした。


つまり、俗に言う『燃え尽き症候群』というヤツらしい

さっきまでのおじさんとは まるで人が違った様に熱く熱く切々と語り出した

“おやっさん!お銚子もう一本っ!”なんて言っちゃう位。 夏なのに熱燗だった。


最初はフンフンなんて聞いてたんだけど、残念ながら自分は

まだ定年退職もした事もないし、燃え尽きてしまった事もない

しかしおじさんは どんどんしゃべる

だんだん頭がぼーっとしてきてしまった


おじさん: “なんか、こう、心にぽっかりと穴が空いたみたいでね”

ノラ: “うんうん・・(つまり『EMPTY HEART』ってヤツだな、で、あんたの心はカタカタ騒いぐのかい)”


おじさん: “今までの自分の人生ってなんだったんだろうって思う時があるんだよ”

ノラ: “うんうん・・(つまり♪なんだか心がうすら寒い♪ってヤツだな)”


何かっていうとハリーに結び付けて考えるのは最近のお約束です


おじさん: “ナントカカントカ、ウンチャラカンタラ・・・・・”

ノラ: “ふんふん・・(ハリーも解散した後、こんな風に燃え尽きた気持ちになっちゃったのかなぁ ←もう、おじさんの話はあんまり聞いてない)


そんな風に考えたらガゼンおじさんの『燃え尽き症候群』が他人ごとではなくなった

なんとか おじさんを元気つけようと思ったんだけど

さっきも言ったけど未だかつて燃え尽きた事がないんで何て言っていいか分からないし

真剣に話をしてる人にいい加減な言葉をかけるのも失礼な様な気がした


そこでハリーの話をおじさんにしてあげた

ハリーがすごいバンドですごく人気があった事、

ハリーは全身全霊でロッケンロールをやってる事

その彼の一部そのものとも言えるバンドが突然解散しちゃった事、

その後たった一年位で彼がちゃんとファンの前に戻って来た事

今の彼はとても楽しそうである事などなど


おじさんは熱心に話しを聞いてくれた、で なんと ハリーのCDが聴いてみたいっていうんですよ

モチロン今度貸してあげる事を約束した

なにを貸してあげればいいか考え中

自分はまだハリーの歌に救われたり助けられたりした事はないから判んないけど

ハリーの歌がおじさんの何かになればいいなぁと思うんだよ


ハリーライブも誘ってみた、やっぱりハリーの良さはライブでなきゃ

でも、お小遣いが足りないらしい、そだよな、年金生活だもんな

ちょっと余計なお誘いだったかもしれない


おじさん: “そのハリーって人は自分に正直に生きてる人なんだろうね”

ノラ: “そっかぁ、そだよね、自分をちゃんと持ってる人って強いですよね”

おじさん: “自分を持ってるか~、僕はどうだったかな・・・”

ちょっと落ち込むおじさん

また、余計な事を言ったかもしれない


でも、おじさんの“そのハリーって人は自分に正直に生きてる人なんだろうね”

この言葉はぐっときた。そうかもしれない、ハリーはいつだって

飾る事なく自分に正直に生きてきたのかもしれない

さすがはおじさん年の功、自分の支離滅裂な話からハリーを掴んでしまった

なんて思った


おじさんがハリーに興味を持ってくれたのが嬉しくって(だって『おじさん』がですよ)

ハリーの物真似まで披露してきた お店のおやっさんにも常連さんにも喜んで貰えた

何よりもおじさんが楽しそうだった

今日はいいお酒だった