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福岡市の整形外科病院で火災がありました。考えられる法的責任について
述べます
防火管理者がいても形式的、防火扉が閉まっていなかった、などの問題点
が明らかになっています。
まずは「刑事責任」ですが「業務上過失致死罪」などが考えられます。
「民事」では「医療法人」として「入院患者への賠償責任」、また「従業員の
労災事故についての民事上の上乗せ責任」などが考えられます。
通路などに荷物などが放置してあったとの報道もありますので「施設管理者」
としての責任もあるでしょう。
ところで、今回の火災の被害者は「高齢者」が多くおられました。
今まで賠償責任について、具体的な賠償額を計算する記事を書きましたが
被害者が「主婦」「幼児」「お年寄り」「無職者」「家事従事者」の場合については
触れませんでした。
(そもそも)賠償金の計算式は(死亡の場合)
治療費+<逸失利益(失われた年収)×(67歳までの年数)-生活費>
+慰謝料+葬儀費
(賠償金は1度に支払われるので一定の利息相当分は減額)
(生活費が控除されるのは死亡の場合です)
となるので「若くて高収入」の方が亡くなった場合には億単位の高額に
なるのです。
それでは問題です。
*専業主婦の方が被害者の場合どのように計算されますか?
(答え)「男女別全年齢平均給与」(男 415,400円 女 275,100円)
か「男女別年齢別平均給与表」によって計算します。
平均給与を上回る収入がある場合は証明すればその数字がベ-ス
になります。
因みに「幼児」「生徒」「家事従事者」「無職者」などが被害者となった
場合も上記に準じます。「幼児」「生徒」の場合は18歳から67歳まで
の期間が計算されます。
即ち直接収入がない方についても逸失利益が認められるのです。
*今回の被害者は67歳を超えていますが、その場合の逸失利益は
どうなりますか?
(答え)「平均余命表」によりその方の年齢から平均した余命年数の
2分の1程度の年数の逸失利益を算定します。
つまり90歳の高齢者でも平均余命がありますので逸失利益が
ゼロにはならないということです。
*施設管理者責任が問われるケ-スは他にどんな場合がありますか?
(答え)デパ-ト火災(熊本の大洋デパ-ト、古くは銀座白木屋など)
雑居ビル(千日屋ビル、歌舞伎座雑居ビルなど)老人介護施設
などが想起されます。
被害者が多数になると経営を揺るがす賠償額になります
保険の裏打ちをするとすれば「施設賠償責任保険」などがあります。
次回は「閑話休題」か「美点凝視で日本を見る」です