緑色の果実を口に含むとき
いつもあなたのこと思い出すんだ
私が熱を出したときに栄養になるよって
白い紙袋に入れてふたつ差し出してくれた
初めて割ってみて
滴る汁と緑色の実が見えたとき
なんて綺麗なんだろうって
ちょっとドキドキしました
その日から緑色は少し特別な色

少し年月が経ってから
あなたとひとつになれたそのときも
私は緑色の果実を思い出してた
熟れて甘くて酸っぱくて優しくて虜になる
あんな風にキラキラと光って
あなたにとって唯一無二の
眩しい女性になりたいって言ったとき
あなたはいつも私をじっと見つめて
恥ずかしそうに褒めてくれたから
私もあなたの好きなところを褒めて
お互いに止まらなくなったことがあったね

今ね 少し風邪を引いて熱を出してる
栄養満点の果実を私は今日食べます
私は今どんな女性になれていますか
あれから春夏秋冬何度繰り返したでしょう
数えきれないほどの季節を通りすぎて
ようやく少し落ち着いて過ごせています
あの日見た緑色の果実のように
あの日よぎった緑色の果実のように
誰かに刺激を与えたり
瑞々しく優しく柔らかくなれているのかと
冷蔵庫から出したての
少しひんやりとした果実を大切に両手に持ってその重みを確かめながら何度も何度も考えてる

これからあの緑色の実に会える
まるであの日に帰るように

私は涙が出るだろうか
懐かしさに微笑むだろうか


もう2度と会えないあなたを想いながら



甘いね
優しいね
瑞々しいね


今、大好きなあなたに会えました



                                                            2019/06/9