60歳の風景は、リセットされ、開放されたように軽やかだった。


それからの5年の間に、思いもかけず心臓を患った。

誰よりも私が1番驚いた。

確実に錆びついていた。

『老い』の真実を突きつけられた。

幸いに生活も仕事も支障は無いけれど、無理は効かなくなった。


そして65歳の誕生日。

年金手続きのお知らせ、高齢者向予防接種のお知らせ、銭湯の高齢者優待券。

高齢者、こうれいしゃ、コウレイシャ。

波状攻撃の毎日。


そんなに言わなくたってわかってるわよ!


ポストの前で舌打ちをする。

これが65歳の実感だ。