男友「おそろいのストラップ買うか?」

男「死ねよ、二、三回」

女「妹友、あれ買おうよー」

妹友「ほうほう、先輩なかなかのセンスですねー」

男友「俺も俺もー!」

女「妹友、この先輩が何でも買ってくれるって」

妹友「え、本当ですかー?」

男友「え?」

女「はい、このかごにどんどん入れちゃえー」

妹友「がってんしょうちのすけー」

男友「え?え?」

男「男友もめげないな…」

妹「に、にいさん」

男「ん、どした?」

妹「……。」

妹「…一緒に、お土産見よう?」

男「なんだ、何か買いたい物でもあった?」

妹「そ、そういうわけじゃないけど」

男「…ん?」

妹「…おそろいで何か買いたいなー…なんて」

男「みんなしておそろいで買うのが流行ってるのか?」

妹「だ、だめかな?」

男「いや、良いけどさ」

妹「ほんとに?」

男「何故ここで嘘をつく」

妹「…やったぁ」

男「でも俺、どれが良いかとか分からないぞ?」

妹「大丈夫、私が選ぶから」

男「そっか。良いよ、自由に選んでくれ」

妹「にいさん」

男「ん、決まったか?」

妹「これなんて、どうかな?」

男「パズル型のキーホルダー?」

妹「これね、二つをくっつけると…」

男「あー、ひとつの絵になるのか」

妹「ね、ひとつひとつだと何の絵か分からないの」

妹「持ってる二人が一緒にいないと、この絵が完成しなくなっちゃうんだ」

男「なるほどな」

妹「ね、これで良い?」

男「良いけど、こんなんどこでも売ってるキーホルダーだと思うぞ?」

妹「いいの」

男「旅行のお土産だって分からないぞ?」

妹「私が旅行記念って書いとくから」

男「…まあ妹が言うなら、これにしようか」

男「ほら、買ってきたぞ」

妹「ありがと、にいさん」

男「俺はこっちを持ってれば良いんだな?」

妹「うん…ずっと持っててね」

男「分かった」

妹「私とにいさんの、思い出だから」

男「…おう」

妹「…えへへ、嬉しい」

男「ちなみにこの絵、なにかの花みたいだけどなんの花だ?」

妹「……。」

男「勿体ない、忘れる草?って書いてあるけど」

妹「勿忘草」

男「ワスレナ…グサ?」

妹「別名、「forget me not」。花言葉は…」

妹「私を、忘れないで」
妹友「朝ごはんはどこで食べますかー?」

男友「近くに食堂付きの市場があるらしいから、そこで新鮮な魚でも食べよう」

女「お魚!」

妹友「楽しみだねー、妹」

妹「うん」

男「男友にしてはちゃんと考えてるな」

女「偉い偉い」

男友「…俺の期待値どんだけ低いんだよ」

男「じゃあ、また後で」

女「はいよー」

妹友「ほら妹、お兄ちゃんがまた後でだって」

妹「な、なんでそれを私に言うのさー」

妹友「ふふ、別にー」

女「いやー、満腹満腹」

男「…で、なんで朝飯食べたあとにまた海に来てるんだ」

妹友「このまま帰るのはもったいないじゃないですかー」バンッ

妹「そうそう」バンッ

男「二人とも着替えるの早いな」

女「私も、ババンッ!」

男「いや、あんたは早過ぎだろ」

男友「ま、折角だしもうひと遊びしてこうぜ」

男「帰りの時間は大丈夫か?」

男友「問題ない」

男「なら良いけど」

女「男君も着替えなよー」

男「いや、俺は良いよ」

男友「まあまあそう言わずに」バンッ

男「…いや、お前はいつ着替えたんだ」

妹友「突撃準備完了ですー、隊長」

女「よし、妹さん、うきわの装備は?」

妹「バッチリです隊長」

女「よし、発進ー」

妹友「おー」

妹「おー」

タッタッタッ

男友「男は?」

男「俺は荷物番」

男友「いらないってそんなん」

男「いや、誰か一人でも体力を残しとかないと」

男友「ん?」

男「…いや、すぐ分かるよ」

女「……。」

妹「……。」

妹友「……。」

男友「……。」

男「はい、抜け殻が四つ出来上がりと」

女「……。」

妹「……。」

妹友「……。」

男友「……。」

男「あ、うん、よくそんなになるまで遊んだよ…」

男「よし、帰るぞー」

女「…うん」

妹「あ、待ってー…」

男「ん?」

妹友「お土産…買いましょー」

男「別に良いけど」

男「いや、そんなグダグダになりながら言われても」

妹友「妹ー、おそろいのストラップ買おー」

妹「あ、うん」

女「パパとママにはこれでー、友達にはこれー」

男「元気になるの早いな」

女「男君、おそろいのストラップ買うー?」

男友「はいはい!俺が買う!」

女「最低」

男友「なにゆえっ!?」

男「…はは」

男友「男」

男「ん?」
妹「だ、だめぇ…」

妹友「なんでー?」

妹「…なんでも」

妹友「妹のままで良いんでしょー?」

妹「でもだめなのぉ」

妹友「わがままー」

妹「うー…ぐすっ」

妹友「あはは、じゃあやめとくよー」

妹「え…ほんとにぃ?」

妹友「妹がお兄ちゃんに告白するならねー」

妹「む、無理だってばぁ!」

妹友「頑張れ妹ー」

妹「楽しむなバカぁ…」

妹友「さっきの妹の好きって言葉、先輩にも聞かせたかったなー」

妹「あー、うー…もう妹友嫌いー…」

妹友「あ、冗談だってばー!」

女「……。」

女「……。」

女「…ものすごいことを聞いてしまった」

同時刻

男友「――でさ、そしたら俺はこう言ったわけよ」

男友「『お嬢さん、悪いが俺には心に決めたマドンナがいるのでね』ってな」

男友「そしたらまあ…男、聞いてる?」

男「…Zzz」

カセット『うん、うん、聞いてるよ』

男友「良かった、それでさ、そう言ってかっこよく立ち去ろうとした俺に向かって――」

男「…Zzz」

カセット『あはは、なにそれおもしろーい』

…………

……

男友「お、女子組」

男「おはよう」

女「おはよー!」

妹「お、おはよう」

妹友「温泉に行ってきたんですかー?」

男「そうそう、そっちは今から?」

女「そうだよ、チェックアウトはちょっと待っててね」

男友「まだ時間あるからゆっくり入ってきなよ」

男「妹、眠そうだな。大丈夫か?」

妹「…へ?あ、う、うん。大丈夫大丈夫」

男「…なんでそんな挙動不審なんだ」

妹「い、いやいや、なにもな…」

男「…ん?」

妹「……//」カアッ

男「……?」

妹友「妹とは夜ずっとお話ししてましたからねー」

男「あー、なるほど」

妹友「ねー、妹?」

妹「あ、うん、そうそう…」

妹友「先輩はすぐに寝ちゃいましたけど」

女「え?あ、あははー、ごめんごめん」

男「一番張り切ってたんじゃないのかよ…」

女「いやー、つい寝ちゃってねー、ぐっすりだったよ、うん、ぐっすり」

男友「情けないなー、俺らなんて一晩中語り合ってたというのに。なあ男」

男「え?」

男友「え?」

男「…あ、うん、そうだったな」

男友「だよなー!」

男友「じゃあ、温泉入って出掛ける準備出来たら俺らの部屋に来てくれ」

女「了解ー」