記憶の欠片 | きゃらみの部屋

きゃらみの部屋

そろそろ高飛びするぜ

 

 

今日は朝から結構な雨

昨日から分かっていたことだけど

 

何故か5:00に目が覚めた朝

コーヒーを飲みながら、ふと思い出す記憶

 

 

沖縄に居た時に

僕は講師をしていたのだけど

 

そこは専門学校と高校の両方を運営している法人で

高校生たちはお世辞にも学力が高いとは言えないが

とても優しい子が多かった気がする。

 

 

 

職員室は専門学校も高校も同じだったので

職員同士でよく会話もしたし、聞こえても来た

問題児?と言っても、何が問題なのか分からないけど

大人の言うことにはあまり耳を貸さない子も沢山いた

 

そんな子たちにも、直接教えない子であっても

僕は勝手に挨拶をしていた。

返ってくることなんて、期待せず。

 

 

 

ある時、高校の教師が足りなくて

きゃらみ先生、三階のクラス見ててもらっていいですか?

と言われた。

面識ないけど、教室に入り、席に着くよう促し、自習をさせていた。

 

すると、結構はじけた?女の子達が小声で囁くのが聞こえた。

 

 

「ねぇ、この先生、優しいよね。」

「うん。お父さんみたい」

「お父さん、って呼んでみようか」

「お父さん!」

 

僕は聞こえないフリをしながら、内心どうしたらいいものか

測りかねていた。

そこに来ている生徒たちは、片親だったり、バイト代も親に取られたり

お世辞にも、そのほとんどが家庭環境も、いいとは言えなかったから

愛情に飢えていたのかも知れない。

 

 

そうしているうちに一時間が経ったのだが

他の先生が言うように騒ぐこともなく、皆静かに自習していた。

 

 

 

 

 

それからしばらくした、昼休み。

近くのお店で昼食を買ってきた僕に、面識のない女子が話しかけてきた。

 

「せんせー、そんなの食べてたら栄養にならないよ。

 こんど〇〇がお弁当作ってきてあげる。」

 

僕は勝手に感動して、泣きそうになったのを慌てて隠した。

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、この先生優しいよね。」

「お父さん!」

 

あの時、僕が上手くコミュニケート出来たら

子供たちの心の穴を、少しでも塞ぐことが出来たのだろうか。

 

 

夜明け前の青い時間に、

何故か僕は10年以上前の、そんな記憶と向かい合っていた。